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ポラス 地盤対策に年間14〜15億円


ポラス中内代表

 ポラスグループ(中内晃次郎代表)は7月7日、恒例の決算発表会・記者懇親会を行った。戸建て分譲住宅が絶好調で売上高は1,246億円(前期比11.4%増)、経常利益は111億円(同70.3%増)となった。詳細については後ほど紹介することにして、懇親会で興味深い話を聞いたのでこちらから先に紹介する。

 懇親会は同社グループの幹部と記者団が円卓を囲み、お酒つきの弁当を食べながら懇談するもので、液状化も話題になり、中内代表は次のように語った。

 「私どもが事業エリアにしているところ(東武伊勢崎線や常磐線、京浜東北線など)は、関東大震災でも液状化が起きたと聞いている。当社は以前から地盤対策を行ってきたが、特にこの5年ぐらい前からは古い地図や地歴、ハザードマップなどから町単位で地盤の強弱を把握している。サンプリングのデータも取り、地盤の弱いところはきちんと地盤改良も行っている。これまで、このようなことはあまりお客さまとか外部に公表してこなかったが、年間にして14〜15億円の経費もかけている」

 中内代表の言葉を待つまでもなく、街は海沿い、川沿いを中心に形成されてきた。同社が地盤とするエリアも「谷」「川」「蓮」「田」などの地名がつくところが多く、地盤が弱いところもあるのは事実だろう。

 デベロッパーはそうした地盤の弱いところはきちんと調査して杭をうったり地盤改良を施すのが当たり前だと思うが、果たしてきちんと行っているかどうか。我孫子市布佐の液状化について取材したが、70〜80歳代の地元の人は液状化が起きたエリアは沼地だったことをみんな知っていた。このエリアの戸建は築30年以上経っているものばかりで、当時は液状化について業者もユーザーもまったく知らなかったはずだからやむをえないのだろうが、これからはそうはいかない。

 今回の東日本大震災をきっかけに、業界全体が地盤について積極的に情報を開示していくことを期待したいし、宅建業法の改正も必要かもしれない。現行法では、物件概要には「地目」は掲載することが義務付けられているが、「地質」や「地歴」などに言及しなくても業法には触れないはずだ。液状化そのものについても言及しなければならないというようにはなっていないはずだ。行政も、詳細なハザードマップを公開していないところが多いはずだ。

 もう一つ。戸建ての質について。ポラスグループの戸建分譲事業を担う中央住宅の品川典久社長は「当社は、(安心・安全の街づくりの)経営理念がある。ローコスト住宅とは一線を画していく」と語った。同社の前年度の戸建て分譲住宅の契約棟数は1855棟(前期比3.4%減)だ。

 この数字もすごい数字だが、低価格路線と一線を画すというのもいい話だ。品川氏は「当社の分譲単価はむしろ上がっている」と答えた。


中央住宅・品川社長

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 戸建て分譲業界の中には、低価格路線に徹し、同社の数倍の戸数を売り上げているところもあるが、記者は、このような戸建て業者の取材を5、6年前からほとんどやらなくなった。外構がほとんどないに等しい貧しさだし、プランもエリアや地型に関係なくほとんど同じで、記者がイメージする建売住宅に程遠いからだ。複数の業者からは「取材お断り」までされた。IRには熱心だが、業界紙の記者などの取材には応じないという姿勢だ。

 見れば腹が立つし、批判記事など書きたくないから、これはこれで結構だ。しかし、戸建て分譲市場規模は最近はマンションと同じぐらいだ。健全な市場を形成するためにも供給サイドは積極的に情報を開示すべきだろうし、マスコミもこの戸建て市場に光を当てしっかり取材してほしい。


決算発表・懇親会 会場

(牧田 司 記者 2011年7月8日)