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「需要喚起策は最低でも現状維持以上」 プレ協・和田会長


和田会長

 プレハブ建築協会は5月31日、第49回通常総会を開き、平成22年度事業報告、同決算報告、平成23年度事業計画、同収支予算案などを承認。新年度の事業計画では、住宅に関する金融・税制などの住宅・土地対策全般について提言・要望、長期・固定・低利の住宅金融制度の拡充、建築基準法の効率化・合理化に関する要望、東日本大震災への対応、一般社団法人への移行準備などが掲げられている。

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 総会後行われた記者会見で和田勇会長(積水ハウス会長兼CEO)は、「震災復興の仮設住宅については、土地の手当てができないことなどから戸数の出入りはあったが、8月末までに約45,000戸建設に落ち着くのではないか。景気の低迷については、復興税や消費税などにより住宅に水を差すことが怖い。昨年は効果があったエコポイント、生前贈与、フラット35Sの金利優遇策などがカットされると厳しい。震災後の需要喚起のために手を打たないと、経済の活力が出てこない」などと語った。

PC 建築部会長の山田幸太郎副会長(安藤建設社長)は、 @中国を中心に海外でPCの技術が評価されたA震災復興でもPC住宅が提案できるB今後は省エネ、環境配慮型やスマートコミュニティ、コンパクトシティに寄与する技術の再構築−などについて語った。

 住宅部会長の平居正仁副会長(旭化成ホームズ社長)は、「不透明な部分も多いが、防災・省エネに対する関心が高まる 1 年になるのは間違いなく、長期優良住宅の約53%のシェアを占めるわれわれが先頭を走っていく。震災復旧がもっとも求められることだが、内需の柱として日本経済の成長・発展に寄与していく」などと述べた。

      
山田副会長                  平居副会長

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 記者団から、「エコポイント、生前贈与、金利優遇策などがすべてカットされたらどうなるか」質問が飛んだが、和田会長は「そうなれば壊滅的な打撃を受けるだろうが、私はそんな恐ろしい仮説は立てていない。最低でも現状維持以上だ」と答えた。

 また、震災後の消費動向について、平居副会長は、「当社は関東しかやっていないが、おそらく全国的な傾向だろう」と前置きした上で、「安心・安全な家を建てたい人と、手控えようと考える人に分かれてきた。取得に積極的な人によって下支えされているが、展示場などへの来場者は絶対数としては減少している」と話した。

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 記者の関心事も、平居副会長が語った点に尽きる。マンション市場も同様だ。住宅取得に積極的なユーザーによって成約率は維持できているはずだが、モデルルームなどへの来場者は間違いなく2〜3割は減少している。原発問題がどう収束するのかも大きいが、経済活動の停滞、雇用不安などが顕在化すれば、住宅・マンション市場は大きな打撃を受ける。とくに住宅需要層の大きなボリュームゾーンを形成する年収にして400〜600万円のユーザーに対してどう取得支援策を打ち出すのか。

(牧田 司 記者 2011年5月31日)