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旭化成ホームズ ペット共生賃貸住宅の新商品


プロトタイプ(完成予想図)

 旭化成ホームズは5月27日、ペット共生賃貸住宅「「ヘーベルメゾン +わん+にゃん(プラスワンプラスニャン)」をリニューアルし、6月20日から関東の1都3県で販売開始すると発表した。

 新商品は、 “ ペットと共に暮らす家族の快適なコミュニティ形成 ” をコンセプトにハード、ソフト、サービスの強化を図ったもの。平成18年に戸建住宅「ヘーベルハウス +わん+にゃん」のノウハウを賃貸住宅に展開して発売した「ヘーベルメゾン +わん+にゃん」の入居者に対する調査の結果、一般のペット可賃貸住宅と比べて同社の供給した共生型の物件の入居者満足度が高く、入居者同士がペットを介して緩やかなコミュニティが形成できることがわかり、さらに共用部や専用部に工夫を凝らしているのが特徴。「わんジョインコモン」「ドッグラン」「防犯通風スクリーン」「通風建具」「お出かけフック」「キャットビュー」などのアイテムを追加した。

 ペット共生型賃貸住宅経営システム「+わん+にゃんお任せ 30」を提案。ペット共生30年一括借上げシステムや、入居希望者に対してペットのしつけ状況などについて独自のヒアリングを実施し審査・指導を行ない、賃貸住宅の価値を高めていく。年間販売棟数は50棟。

 同社はこれまで72棟560室を管理しており、バス便物件でも低い空室率が実現できているという。ペット飼育仕様に伴うコストアップは 3 %ぐらいで、賃料としては5〜10%アップしても競争力があるるとしている。

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 記者は、賃貸住宅のことはよく分からないが、至れり尽くせりのハード、ソフト、サービスだと思う。住民同士がペットを介してコミュニケーションを図る「わんジョインコモン」や「ドッグラン」から、猫が外を眺める「キャットビュー」を設けると聞いて、「そこまでやるか」と驚いた。

 しかし、ペットを介して住民同士のコミュニティ形成に大きな効果を発揮しているという研究データはうなづける。「ペット可」賃貸と比べ、共生型のほうが日常的に入居者同士の挨拶する習慣が身に付き、会話も交わす機会が多いという。部屋を傷つけないとか、ペットのしつけにも熱心であることが分かったという。

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 「ペットを介してしかコミュニティ形成が図れない」というのはさびしいが、「無縁社会」「無関心社会」が進み、コミュニティが破壊されつつある現状を考えると、同社の取り組みは大きな意義があるる。

 ペット問題について一言。記者はかつて、横浜ペット裁判を取材したことがある。もう 20 数前だ。自閉症の子どものために大型犬をマンションで飼っていたひとが、「管理規約」で「ペット不可」と明記されていたため、裁判にも破れ、退去を余儀なくされた裁判だ。

 取材で分かったのは、ペット問題は人間関係、コミュニティの問題だと思った。そのマンションは、国道に面し、玄関で入居者と話ができないほどうるさく、そのマンションの敷地の南側には建物が建設され、日照・眺望も阻害されていた。交通騒音や排気ガス、日照阻害などによるストレスがその人に向かったと記者は理解した。

 このとき、マンションデベロッパーも大手の管理会社も「ことなかれ主義」を貫き、「ペット不可」は当然との姿勢をとった。記者は、これではマンションの将来はないと思ったものだ。

 その後、マンションの販促のため(ペット飼育は当然の権利として認めたわけではない)「ペット可」にするところが増え、今では逆にほとんどが「ペット可」になっているはずだ。ここまでくると「ペット不可」が売り≠ノなるのではと思ってしまう。

 しかし、そもそも「ペット不可」「ペット可」が商売になる世の中がおかしい。犬も猫も赤ちゃんも鳴く(泣く)ものだし、子どもは騒ぐものだ。夫婦仲が悪くいつも怒鳴りあう家庭もある。そのようなことを容認しあい、度が過ぎれば注意できるコミュニティが必要なのだと思う。

 最近は、ベランダでのタバコの喫煙に対するクレームが増え、隣の料理の匂いが気にいらない、エントランスを歩く靴の音がうるさいなどのクレームもあるという。そのうち、夫、あるいは妻の「いびき」がうるさいと裁判沙汰になる世の中になるのではないか。

(牧田 司 記者 2011年5月27日)