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野村不動産「プラウドシティ稲毛海岸」

坪単価121万円 圧倒的な安さに驚き


「プラウドシティ稲毛海岸レジデンス」完成予想図


 野村不動産は5月26日、千葉市美浜区で開発を進めている「プラウドシティ稲毛海岸レジデンス」の記者説明会を行った。開発面積約7.7haにマンション555戸、戸建て265戸、商業施設を建設する大規模複合開発で、マンションを先行して販売する。

 今回分譲する「レジデンスT」は、JR京葉線稲毛海岸駅から徒歩17分、千葉市美浜区稲毛海岸5丁目に位置する14階建て全425戸の規模。専有面積は73.25〜100.01u、最多価格帯は2,900万円台、坪単価は121万円。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、公務員宿舎跡地で、平成21年に同社が入札によって用地を取得したもの。隣接する同規模の土地は当初、公務員宿舎が建設される予定だったが、事業仕分けで白紙となったままとなっている。民間に売却されると思われる。

 今回分譲される住棟は、南西向きで端から端まで31スパンもある細長い住棟だ。エコや環境共生、コミュニティ、防災などに工夫を凝らしている。平均専有面積は約81u。最上階の住戸の天井高が3200ミリ、その他は2500〜2600ミリ。ラクモアが標準装備されている。

 1期分譲は222戸で、5月28日から6月4日まで登録受付される。これまで約3,000件の資料請求があるという。

 説明会で挨拶した同社上席執行役員・山本成幸氏は、「震災後、広告宣伝などを自粛した期間もあったが、資料請求も多く、たくさんの関心を持っていただいている。今後の湾岸マンションの動向を図る試金石になる物件」と語った。


100uのモデルルームリビング

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 今回の説明会より1カ月前、同社の他のマンション販売担当者から、坪単価120万〜130万円で販売すると聞いていたので、単価の安さは分かっていたが、1期分譲の戸数が222戸もあることに記者は驚いた。

 記者は5年年前、千葉県の総武線と京葉線のマンションを10件ぐらい集中的に見学したことがある。駅近で坪170〜180万円、一般的な住宅地で140〜150万円、千葉以遠のバス便で110〜120万円というのが相場だった。軒並み苦戦を強いられていた。今回のマンションと同じような大規模なものでは、同じ長谷工コーポレーションが施工した有楽土地他「コロンブスシティ(マクハリタマゴ)」がある。JR京葉線海浜幕張駅から徒歩20分の全896戸で、坪単価は141万円だった。完売まで時間がかかったが、比較的売れたほうだった。

 この事例を知っていたので、今回も坪140万円ぐらい、安くても130万円を突破するだろうと読んでいた。まさか121万円に抑えられるとは夢にも思わなかった。

 この物件の用地が仕入れられたのはリーマンショック後の半年にかけてだ。他のデベロッパーが仕入れをほとんどストップしたとき、同社はこの物件のほか、「池袋本町」「中野」「赤羽」「新浦安」「東雲」など約2,000戸分の用地を仕入れている。記者は、この「稲毛海岸」だけはバス便だったので、販売には苦労するのではと見ていた。

 1期分譲の多さは、圧倒的な価格の安さと、商業施設が併設される効果だろうが、やはり「プラウド」のブランド力の威力が一番だろうと思う。単価が低い分だけ設備仕様はそれなり≠フものだが、決して低くはない。千葉県の郊外で分譲されている低単価の物件とは月とすっぽんぐらいの差がある。全31スパンを見たわけではないが、最低でも6200ミリで、多くは7000ミリ前後あるし、とくに天井高が高い4LDKタイプは圧倒的な人気を呼ぶのは間違いない。

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 年収にして400〜600万円の圧倒的な需要層をターゲットにした今回の物件のような坪120〜130万円のマンションが売れるかどうかが、今後の市場動向を探る意味でポイントになると見ているが、少なくとも同社のマンションは需要を喚起する役割を果たしそうだ。同業他社の物件はどうだろう。すべて売れてくれればいいのだが … 。


敷地計画図

(牧田 司 記者 2011年5月27日)