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モリモトが三菱地所レジデンスとJVが組める意味

両社のいいとこどり♀驩謔ノ反映

「ザ・パークハウス 上目黒 ピアース」


「ザ・パークハウス 上目黒 ピアース」完成予想図


  先日紹介したモリモト「ディアナコート代々木上原」に引き続いて、同社と三菱地所レジデンスのJVマンション「ザ・パークハウス 上目黒 ピアース」を紹介する。物件名に三菱地所レジデンスのブランド「ザ・パークハウス」と、モリモトのブランド「ピアース」が付いているように事業比率は50:50だ。 

 物件は、 東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅から徒歩3分、目黒区上目黒3丁目に位置する5階建て全76戸の規模。専有面積は40.15〜75.23u、予定価格は4,200万円台〜9,700万円台(最多価格帯7,000万円台、7,100万円台、7,400万円台)、坪単価371万円。竣工予定は平成24年1月中旬。施工は大豊建設。デザイン監修はプランテックアソシエイツ(大江匡代表)とメック・デザイン・インターナショナル所属の茂木えいこ氏。

 現地は、山手通りから一歩入った商業地域と近隣商業地域、第一種住居地域にまたがる加重平均の建ぺい率が約94%、加重容積率が約230%の敷地。建物は大判のベージュタイルを貴重にグレーのタイル、ガラス手すりのファサードがよく調和されている。

 そして最大の特徴は、両社のいいとこどり≠ェ商品企画に反映されていることだ。つまり、三菱地所レジデンスのオプション仕様が標準仕様となり、モリモトのオプション仕様が標準仕様となっていることだ。

 例えば玄関ホール・廊下の床は大理石だが、これはモリモトだと通常は標準で、三菱地所レジデンスはオプションだ。エアコンや吊戸棚は三菱地所レジデンスは標準だが、モリモトはオプションだ。袖壁に御影石が採用されているが、これはモリモトだと標準で、三菱地所レジデンスはオプションとなる。「一括高圧受電」と「太陽光発電」組み合わせたエコシステム「soleco」はモリモトにはない三菱地所レジデンス独自のシステムだ。

◇     ◆     ◇

 記者が注目したのは、終結したとはいえ民事再生会社だったモリモトがわが国を代表するデベロッパーと共同でマンション事業を行ったことだ。同社は先に近鉄不動産と共同で分譲したことがあり、昨年は東急不動産ともJV を手がけているから、大手とは3件目のJV物件となる。

 リーマンショック後、中堅デベロッパーの多くが破綻し、マンション市場から退場を余儀なくされた。そんな中でモリモトは再生を果たし、大手デベロッパーと共同で事業が行えるようになったことの意味は大きい。同社がデザインにこだわり、モリモトのマンションだから買う≠ニいうモリモトファンを長い年月をかけて獲得してきたからできたことだ。記者も同社のデザインは大手と互角以上だと思っている。

 デザイン力が優れていることは、数字にも表れている。同社は民事再生手続きを申請し、一時販売を中断、その後再開してから現在まで億ションも含め約740戸を供給しているが、3月末での在庫はゼロだった。こんな会社は皆無だろう。三菱地所レジデンスも三井不動産レジデンシャルも住友不動産もリーマンショック後は年間供給量の1〜2割の在庫を抱えてきた。野村不動産も今年3月末で113戸(前期は422戸)の在庫がある。同社は大手と比べ供給量は桁違いだが、民事再生企業ができることではない。

 だからこそ、今回、三菱地所レジデンスもJV に踏み切ったのだろう。来場者からは「モリモトって大丈夫」という声も寄せられたという。この問いに対する営業マンの答えは「三菱の安心感がある」だそうだ。

 坪単価371万円は決して安い単価ではないが、「中目黒駅」圏で過去10年間、徒歩5分以内の物件は2棟しかない。そのうちの1物件は、リーマンショックに見舞われながら圧倒的な人気になった坪単価450〜460万円の駅前の旭化成ホームズ「中目黒アトラスタワー」だった。今回も三菱地所レジデンスのブランド力とモリモトのデザイン力が相乗効果を発揮することになりそうだ。

(牧田 司 記者 2011年5月25日)