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  どうなる今後の住宅着工 原発の収束次第か


  国土交通省は4月28日、平成23年3月の新設住宅着工統計をまとめ発表した。総戸数は63,419戸(前年同月比2.4%減、10カ月ぶりの減少)となった。建て方の内訳は持家22,863戸(同4.0%増、17カ月連続の増加)、貸家21,763戸(同9.5%減、6カ月連続の減少)、分譲住宅18,104戸(同4.6%増、13カ月連続の増加)で、分譲住宅はマンション8,670戸(同 1.3%減、10カ月ぶりの減少)、一戸建住宅 9,324戸(同 9.6%増、15カ月連続の増加)。

 首都圏のマンションは4,918戸(同40.8%増)で、都県別では東京都2,540戸(同5.4%増)、神奈川県2,034戸(同121.8%増)、埼玉県229戸(同37.1%増)、千葉県115戸(全念同月は着工ゼロ)と増加した。

 被災地の住宅着工は、岩手県が前年同月比で30%減少したのをはじめ、青森、宮城、福島、栃木、茨城各県とも2ケタ減となった。

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 首都圏のマンションの月別着工戸数は、ここ半年間、前年同月比で 2倍、3倍増加していたことを考えれば、やはり震災の影響で伸び率は鈍化したといえそうだが、問題は今後どうなるかだ。

 阪神・淡路のときは、マンション分譲が激増した。平成 2年にバブルが崩壊し、地価・建築費が暴落し、ローン金利もバブル時の5%台から4%、3%台に低下するなど「価格安」「金利安」を背景にしたものだった。バブルで破たんしたデベロッパーの代わりに新興デベロッパーが出現し、震災復興や消費税引き上げ論議の高まりの中で駆け込み需要も見られたときだ。

 今回はどうか。被害が甚大で、原発という厄介な問題が問題を複雑にしている。電力不足、資材の調達問題もある。新築市場も仲介市場も「4月になってお客さんが戻ってきた」という声が現場から聞かれるが、原発がどのように収束するか、消費マインドがどうなるかで予断は許さない。さらに、着工後1、2年の分譲時の市況も予測しなければならないので、デベロッパーにとっては難しい選択が迫られる。

(牧田 司 記者 2011年5月2日)