RBA HOME> RBAタイムズHOME >2011年 >

総合地所「ルネ追浜」  テーマは「フリスム」(自由に住む)


「ルネ追浜」完成予想図


 総合地所は4月15日、長谷工コーポレーションと共同で分譲開始した横須賀市の「ルネ追浜」の記者見学会を行った。

 物件は、京急追浜駅から徒歩11分、横須賀市追浜東町1丁目に位置する7階建て全420戸の規模。一工区の総戸数は173戸。現在分譲中の30戸は、専有面積68.91〜90.04u、価格は2,690万〜3,990万円(最多価格帯2,900万円台)、坪単価132万円。竣工予定は平成24年2月末。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は総合地所、長谷工アーベスト。

 現地は、標高約26メートルの山の上で、フラットなアプローチからスカイエレベータで団地入口にアクセスできる。テーマは「フリスム」。共用施設などを自由に利用できるよう工夫を凝らしているのが特徴。電気自動車、電気自転車、アウトドアグッズ、ガーデン用品などのシェアリングサービスも導入する。また、長谷工コーポが開発したプラン、カラーリング、設備機器が自由に選べ、グレードアップ仕様にして自己負担になっても、毎月のローンで費用を負担できる「 E − label 」を採用している。

 見学会で挨拶した同社常務執行役員分譲事業本部長・長谷川治氏は、「4月に入ってお客様が戻ってきた。先に分譲開始した『志木』同様、年収が400〜600万円の、家賃と同様のローンで買えるのがコンセプト。ここは山の上なので杭は売っていない。頑丈な岩盤の上。入居者の安全と資産を守れるプロジェクト。地元の観光協会、地域活性化に取り組むNPO法人、商店街などからも『がんばれ!止めるなよ』と激励された。地域の活性化のためにも貢献したい」と語った。

◇      ◆      ◇

 震災後、マンションの見学をするのは今回が初めてだ。1カ月以上マンションを見学したことがないのはこの30年間で初めての経験だ。もちろんデベロッパーが自粛したためだが、記者自身もマンションを見学する気になれなかった。それほど地震・原発の影響が大きいということだ。

 本来なら売れ行き予測をする。単価が圧倒的に安く、グロスでも90uで4,000万円を切るのだからこれは売れる≠ニいいたいのだが、正直、全く分からない。 

 震災・原発の影響がどの程度出るのかさっぱり分からないからだ。経済・雇用の先行き不明感は間違いなく販売に影響する。このまま事態が収束してもこれは売れる≠ネどとはいえない。

 予測を難しくしている要因は他にもある。今夏には三菱地所レジデンスが近接地で全709戸のマンションを分譲するからだ。双方で1,000戸を超える。記者は、この追浜駅圏の年間供給吸収力は200戸程度だと思っている。双方で200戸ぐらいなら半年で売れるかもしれない。1,000戸超となると数年かかる計算だ。

 しかも、予測を難しくしているのは、競合する三菱地所レジデンスの概要が今ひとつ分からず、モデルルームもオープンされていないからだ。ユーザーにしてみれば、これほど戸数が多く完成も先なら、じっくり比較して選ぼうとするはずだ。先に売ろうが後から売ろうが、有利不利の差はない。単価も差は出ないと読んだ。

 もう一つ難しい問題がある。この物件のテーマが「フリスム」(フリーに住む)にあるからだ。一度、マンションに住めば誰でも分かることだが、コミュニティによって快適に住めるかどうかが変わってくる。極めて重要なテーマなのだが、買って住んでみないとその重要さが分からない。今回のマンションは第一次取得層向けだからこの点が難しい。

 同社分譲事業本部分譲事業第一部部長・土田晃氏は「これまでの経験から言って、マンションは共用施設を利用する人と利用しない人に分かれる。利用しない人は疎外感を味わうことになる。このマンションはそうならないよう、NPO法人の協力も得て、制約を限りなく少なくするのがこのマンションのテーマ。ルールは自己責任≠ニいうことも重要事項説明書に盛り込む」と語った。言葉には力がこもっていたその一方で、「コミュニティの大切さを分かっていただくのは難しい」とも語った。

 来場者に、このコミュニティの大切さを訴え切れるかどうかも販売を左右するだろう。


模型の前で挨拶する長谷川常務

(牧田 司 記者 2011年4月15日)