RBA HOME> RBAタイムズHOME >2011年 >

心温まる身の丈提案 旭化成ホームズ「アトラス方南ビレッジ」


「アトラス方南ビレッジ」完成予想図

 旭化成ホームズのコーポラティブハウスの建て替えマンション「アトラス方南ビレッジ」を見学した。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線方南町駅から徒歩5分、東京都杉並区堀ノ内2丁目に位置する8階建て39戸(非分譲14戸含む)の規模。1月下旬に分譲する2期(12戸)の専有面積は35.97u〜 80.7u、予定価格は2,500万円台〜5,900万円台(予定最多価格帯4,400万円台)、坪単価は236万円。設計・監理は広末設計。施工は松尾建設。建物は平成22年12月24日に竣工済み。

◇     ◆     ◇

 規模こそ39戸の小さなマンションだが、いかにもコーポラティブハウスの建て替えで、造り手の思いが伝わってくるマンションだ。

 従前は築40年近くのマンションで、コーポラティブの先駆的な物件だったようだ。今から3年ぐらい前に同社に話が持ち込まれた。従前マンションの1・2階は管理費を捻出するための店舗・事務所になっており、同社が分譲マンションのモデルルームとして利用をしたことがあったのも、同社に話が持ち込まれた理由の一つだという。

 14人の地権者のほとんどか入居するそうだが、当初の思いがそのまま盛り込まれている。その一つが植栽計画だ。敷地は不整形で、エントランスから建物本体までは45メートルぐらいの路地があるのだが、これを遊歩道にして植栽を施し、ベンチも設けている。屋上は、従前と同じように庭園を設置し、ベンチを配し、自動潅水の低中木を植えている。入居者同士がコミュニケーションを図れるようになっている。バルコニー手すりには花台も設置されている。

 間取りプランも、一件一件、地権者の要望を取り込み、きめ細かな配慮がなされている。典型的なのが「+NEST(プラスネスト)」だ。同社の長年の戸建て供給や建て替え事業で培ったノウハウを「+NEST(プラスネスト)」という子育て世帯向け提案として具体化したもので、来場者の評価も高いという。それは回遊式のプランだったり、「DOMA」の提案だったり、家事をしながら子供の様子が見られる空間の提案だったりするものだ。

 クローゼットは、全て引き違い戸を採用。リビングドアはクローザー機能付きだ。キッチンカウンター下の収納の提案もいい。


エントランス(完成予想図)

◇     ◆     ◇

 面白い提案はまだある。子どもが調理のお手伝いに使う小さな脚立がキッチンに置かれていたことだ。市販品を購入してセットしただけのものだが、物件説明をしていただいた同社関係者が「お手つ台≠ニしてお客さまに話している」と笑ったように、こうした何でもない心遣いがユーザーとの距離を一気に縮めるのだ。

 子供部屋には、スタッフが手づくりでセットしたベッドや量販店でも販売している手ごろな収納が置かれていた。「伊達直人」さんからのプレゼントではないが、人工皮革の普通のランドセルもセットされていた。

 これらは、「ちょっと頑張れば手が届く。身の丈」の提案に他ならない。建て替えの合意形成に至るまで地道な活動を行っている同社だからこそできる提案だろう。 単価も割安感がある。


「DOMA」の提案

(牧田 司 記者 2011年1月20日)