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「安心・安全」のマンション事業の王道を貫き通す

アンビシャス・安倍徹夫社長


安倍社長


 「これまで45年間、まっとうなことをやってきたと改めて感じた。アンビシャスとして供給した60棟2,600戸を全て点検したが、被害はゼロ。液状化が起きた湾岸エリアも超高層もゼロ。創業時に安心・安全の独自の用地選定基準を設け、各社が都心回帰に走ったときも都心回避を貫き、杭打ちが必要な地盤の弱いところを避け、ベタ基礎でいい高台立地で供給してきた」−こう語るのはアンビシャス・安倍徹夫社長だ。

 3月11日の東日本大震災でマンション業界も大混乱に陥った。「自粛」ムードが広がる中、同社も3月いっぱいは来場者が激減し、契約も進まなかった。ところが、震災直後に行った全物件の点検と入居者への聞き取りなどから、改めてこれまでの路線が間違っていなかったことを確信したという。この確信を社員全員で共有したという。

 そこで流れが変わった。流れを変えたのはB5版のチラシだった。チラシには「アンビシャスのコンセプト」「なぜこの土地を選んだのか」「なせこの企画にしたのか」「過去7年間、台や山のつく地名に供給してきた理由」などを盛り込んだ。

 このチラシが大きな効果を発揮し、4月に入ってからこれまで「アンビシャスシティ越谷」を中心に契約を伸ばしているという。来場者数は震災前を上回った。

 安倍社長は、「リーマンショックで、われわれ中堅どころのデベロッパーがどんどん姿を消した。大手寡占が進行した。しかし、安心、安全、健康を掲げ、郊外の、しかも駅からややある距離で供給してきた姿勢が理解されるはずだ」と語った。

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 マンションデベロッパーは地盤の弱いところでもしっかり杭を打ち、震度6〜 7 でも倒壊しないマンションを建設している。今回の地震でもそれは証明された。それでも安倍社長は、石橋を叩くように「安心・安全」のマンション事業の王道を貫く。

 安倍社長の言う通り、同社のマンションは確かに台地が多い。これまで供給した60物件のうち「勝田台」「高根台」「天王台」「朝霞台」など「台」や「山」の付くマンション名は13物件ある。「河辺」「越谷」など「河」「谷」がつくマンション名も少なくないが、「河辺」は関東ローム層を形成する地盤がいいところとして知られており、「越谷」も市内でもっとも地盤がいいところを選定しているという。そもそも「谷」は、地盤がいいから谷ができるのであって、谷を埋立ててそこに建物を建てるから地盤が弱いのだ。

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 安倍社長本人も忘れているかもしれないが、阪神・淡路の地震後、メーカーが開発した低床バスを首都圏で最初に採用したのは扶桑レクセル時代の安倍社長だった。そのマンションの所在地は、確かアンビシャスがいま分譲している「アンビシャス宮崎台」と同じ駅圏の「宮崎台」だったような気がする。

(牧田 司 記者 2011年4月13日)