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「晴海」「豊洲」「有明」 液状化は全く問題なし

〜現地ルポ〜


正面のクレーンが立っているのが三菱地所と鹿島のマンション現場(ゆりかもめから写す)


  あるデベロッパーの広報マンからメールをもらった。「液状化で新浦安、幕張海岸など被害をうけましたが、その影響が都内の湾岸に出ております。湾岸は特に問題はなかったのですが、今回の件でイメージダウンしてしまいました」とあった。へそ曲がりの記者は、「問題はなかった」と言われると余計に興味をそそられる。そこで早速取材に出かけた。「中央区晴海」「江東区豊洲」「江東区有明」の液状化被害状況≠調べるためだ。結論から言えば、この3地域は全く問題なかった。

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 「中央区晴海」は、三菱地所と鹿島建設の「(仮称)中央区晴海二丁目マンション計画」が昨年着工された。全2棟で約1,800戸の計画だ。また、住友不動産も晴海3丁目で約1,500戸のツインタワーを計画しているし、三井不動産も大規模マンションを計画している。液状化が起きていれば深刻な打撃を受けるのは間違いない。

 「勝どき」駅を降り、黎明橋を渡り、UR都市機構が建設した賃貸マンションUR都市機構の49階建て賃貸マンション「ベイシティ晴海スカイリンクタワー」(736戸)の32階に住んでいる入居者(66)に話を聞いた。「マンションの前の公園やグラウンドはやや液状化がありましたが、被害を受けたということは聞いていません。自治会の調査では、上層階では気持ちが悪くなるほど揺れたと聞いていますが、私のところは家具の転倒防止もしていましたので、全く問題なかった」


晴海3丁目のUR都市機構のマンションの前の公園(若干白くなっているのが液状化の痕跡)

 他に数人に聞いたが、このエリアでは被害はなさそうで、液状化の痕跡もなかった。そこで、三菱地所と鹿島のマンション建設現場に向った。ここも問題はなさそうだ。工事関係者は「液状化はなかった」と話した。

 記者は、この三菱地所と鹿島のマンションは駅からややあるのでこれまでは坪280万円ぐらいと見ていたが、大幅に上方修正≠キる。「トリトンスクエア」に隣接しており、鹿島の免震が採用されているばかりか、東京都の「マンション環境性能表示」制度で満点の☆15個に1個欠けるだけの14個を獲得している唯一の物件だ。

 リーマンショック前だったら坪380万円はしたはずだ。震災・原発の影響がいま一つ読めないが、ここなら坪330万円ぐらいでも売れるのではないか。対岸は「江東区豊洲」だが、ここは「中央区」だ。坪300万円を切るようだとお客さんが殺到するはずだ。

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 次に、豊洲を見た。ここも全く問題なかった。通行人に聞いたが、液状化の話は全く聞いていないという。現在、住友不動産がこのエリア最後のタワーマンションを分譲中だ。事業計画が変更されない限り、このエリアでは今後の新規マンション計画はない。

 豊洲に問題がないのを確認して、「江東区有明」に向った。ここも「有明1丁目」の空き地で液状化の痕跡があったが、この程度ではインフラにも建物にも全然被害を与えないはずだ。このエリアでは、東京建物が大規模マンションを分譲中で、住友不動産が商業施設を含めた大規模マンションを計画している。

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 この3カ所では、しばらくは風評被害があるかもしれないが、今回のような規模の地震では被害はほとんど受けないと見た。風評被害でデベロッパーが値づけに慎重になるなら、ユーザーにとってはむしろ買い≠セろう。

(続く)


豊洲駅前で

(牧田 司 記者 2011年4月6日)