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アキュラホーム&ジャーブネット 被災地支援報告会


東松島市(写真はアキュラホーム提供、以下同じ)

 

 アキュラホーム&ジャーブネットは3月30日、「地震・天災による安全・安心の家づくり勉強家」を開き、報道陣にも公開した。勉強会は、ジャーブネット会員向に行ったものだが、宮沢俊哉社長(ジャーブネット主宰)は、「このような時期に勉強会を報道陣に公開していいものかどうか、今朝まで悩んでいたが、震災の情報をみんなで共有し、報道陣にも提供する意義があると判断した」と、報道陣に公開した経緯を説明した。宮沢社長は、地震の翌日に、茨城県つくば市にある同社千葉支店の被災状況を確認するためにかけ付け、17日〜20日まで、被災エリアの社員(家族)、会員の安否確認と物的支援のため同社スタッフらと現地に駆けつけている。

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 被災者支援と被災地巡回を行った同社埼玉中央ブロック長・野村宏氏は、震災直後に「東日本大地震対策室」を立ち上げ、東日本エリアの会員133社の安否確認、被災状況の把握、復興支援活動などを報告。震度6強を記録した宮城県東松山市の花坂ハウス工業を訪ね、社長のご令嬢が避難の手助けをしている最中に津波に飲まれたことを知らされたという。また、震度6強の長期優良住宅先導事業物件は、ほとんど被害を受けなかったという。

   
石巻市                             宮古市

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 「安全安心の家づくり」について報告した商品開発室・照山祐史氏は、「陸前高田の惨状を見たときは途方に暮れた」と語りながら、「津波に対応するのは難しいテーマだが、英知を集めてチャレンジしたい」と話した。自社施工物件が大きな被害を受けなかったことや、家具の転倒防止に研究を続けていくことなどを報告した。

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 千葉、茨城の東関東ブロックの震災への対応を報告した千葉支店・松元真人支店長は、地震発生から全230件の顧客に対する見舞いと安否確認を行い、地震後3〜5日にかけて社員による顧客訪問を行い、点検作業を行ったという。大きな被害は受けなかったが、唯一、新浦安の住宅1棟が液状化で傾いているのを確認したという。

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 地震による住宅資材調達について報告した購買物流部・平柳好久氏は、わが国の合板主要メーカーが石巻市の海岸に集っており、壊滅的な被害を被ったため、全てのサイズの合板不足が懸念されると報告。ガソリン不足、停電、風評などの影響も大きく、断熱材、サッシ、住宅設備への影響も大きいとしている。「5月以降の着工が心配」と語った。

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 「被災地支援報告会」は、予定されていた2時間を大幅にオーバーし、質疑応答を含め4時間近くにのぼった。

 133社の安否確認で、22日まで唯一確認が取れていなかった岩手県釜石市の木村工務店では、木村社長が作業場で津波に遭い、作業場の2階床の鉄骨梁につかまって必死で耐え助かったことが報告された。また、奥さんは「あっという間に津波が襲ってきました。すぐに逃げましたが間に合わず、津波にのまれてしまいました。絶対に死にたくないと必死で真っ黒な中を泳ごうとしましたが、途中で気を失ってしまったようです。気がついたら近所の方々に助けられていました」と語ったという。事務所や自宅は、海面から40m以上ある高台にあったが、それをはるかにしのぐ津波が襲ったという。


木村工務店の作業場(2階床の鉄骨梁に捕まって社長は助かった)

 震度5強の宮城県加美郡の鶴秀工務店は、震災後二日間で400件の施主をバイクで訪問したことも報告された。


鶴秀工務店

 住宅被害については、関係者は「震度7を記録した栗原市ではほとんど被害がなかった。他のエリアでも倒壊していたのは、開口部が大きい店舗や古い商店街などだった。直下型でなく、地盤などにもよるのだろうが、これほど大きな地震でも今の住宅は大丈夫ということを実感した」と、関係者が口々に語った。

 記者も同感だ。もちろん、東北の被災地はテレビや新聞でしか知らないが、あの液状化で道路や電気、ガス、上下水道のインフラがズタズタになった新浦安や千葉市美浜区でも、傾いた住宅は少なくなかったが、倒壊したものは皆無だった。新浦安も千葉市美浜区も震度は「5弱」だったが、気象庁が「埋立地など地盤によっては観測記録より1ランク大きいこともありうる」としているように、新浦安や美浜区の震度は「6弱」くらいだったかもしれない。

 震源地の位置や地盤にもよるだろうが、少なくとも「震度6弱〜6強」くらいでは、わが国の住宅は倒壊しないと確信した。

  
釜石市                          東松島市

(牧田 司 記者 2011年3月30日)