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住友林業 森林・林業の重要性を考える

「Sustainable Forest Gallery2011〜きこりんの森〜」開催


テープカット(左から草野氏、市川氏、鹿野氏、梶谷辰哉・国土緑化推進機構専務理事)


左から草野氏、市川氏、鹿野氏


 「今年は森林再生元年の年に」鹿野農水相

 住友林業は1月15日(土)、森林・林業の重要性を分かりやすく紹介する「Sustainable Forest Gallery 2011〜きこりんの森〜」を千代田区の有楽町イトシア前広場で開催し、記念ステージとオープンセレモニーを行った。同イベントは16日まで行われる。

 同イベントは、平成19年から開催しているもので、今回が5回目。山林環境を保全し国産材を活用することの重要性や「木の家」の価値を同社の本業を通じた環境共生への取り組みとあわせてわかりやすく紹介するもの。

 今回は、写真やクイズ、3D映像などを使い、五感を通じて楽しみながら「森」や「木」の魅力について理解が深められるように工夫されており、日暮れとともに会場内に美しい森のイメージを映し出す光の演出を実施する。

 今年は国連が定める「国際森林年」であることから、鹿野道彦・農林水産大臣、皆川芳嗣・林野庁長官、草野満代・国際森林年国内委員会委員(フリーアナウンサー)が参加して、市川晃・同社社長らとオープニングセレモニーを行った。

 最初に挨拶に立った市川社長は、同社が創業した1691年から今日まで320年間にわたって森を守り育ててきた取り組みを紹介。わが国の国土面積の900分の1に該当する42,600ヘクタールの社有林を保有する企業として「木」をキーワードに川上から川下に至るまでの事業を展開しており、28万ヘクタールにも及ぶインドネシアでの植林事業や、木造注文住宅のトップランナーとして主要構造材の70%を国内産で賄っていることなどを話した。さらに27.8%まで落ち込んでいる木材自給率を向こう10年間で50%まで引き上げる国家的プロジェクトに「森林とのつながりが極めて大きい企業として」貢献していくと述べた。

 鹿野・農水相は、「森林の活性化の取り組みとして来年度に『直接支払い制度』という画期的な考えを導入し、森林再生元年にしたい」と語った。

 また、草野氏は、自らが岐阜県中津川市で生まれ育った経験を紹介。サポーターとして「重い腰を上げ、生活者としてできることから始め、森林と親しむ 1 年にしましょう」と呼びかけた。

   
草野氏に説明する市川氏             左から皆川氏、草野氏、市川氏

◇     ◆     ◇

 三重県の伊勢の山奥で生まれ育った記者も、森林の荒廃は他人事ではない。木は燃料で、炭焼きが農家の生計を支え、人と森林が共生していた時代に育った。山芋を掘り、きのこを採り、アケビやヤマモモを食べた。蛍を蚊帳の中に放ち遊んだ。山百合は花瓶に活けた。山は食べ物の宝庫であり水源だったし、水田は洪水防止や保水効果に大きな力を発揮した。肥料は堆肥や人ぷんだったから、鯉が田んぼで育った。

 ところが、高度成長の時代から都市と農村の対立が激化し、そして農村は破壊された。山は荒れ放題になった。川の水量は激減し、アユの姿が消えた。イノシシや鹿、猿が農作物の収穫者に取って代った。

 荒れ放題の森林を見ると、すさんだ自分の心を見透かされているようで悲しい。

◇     ◆     ◇

 山が荒れると、どうなるかという卑近な例を紹介しよう。

 草野氏も小さい頃、山や川で遊んだことを語ったが、記者は、帰省して里山に登るのを楽しみにしていた。しかし、最近は山に入るのが怖くなった。クマは出ないが、山ヒルが大量に発生しているのだ。

 山ヒルをご存知ない人も多いかもしれないが、普通は獣にくっついて血を吸うのだが、鹿やイノシシが里に降りるようになって山ヒルは人の血を吸うようになった。

 長さは1センチぐらいしかないが、取り付かれると厄介だ。古山高麗雄は自らの北ビルマでの戦争体験記「フーコン戦記」で「朝起きたらチ○○コが2つになっていた」とユーモラスに書いている。フーコンの山ヒルは陰嚢に取り付くと、陰茎と同じぐらいの大きさになるまで血を吸い、無理に引き剥がすと血が止まらず、貧血を起こし倒れるという。石で叩いて潰すしかないという。ジャングルに入ると、葉っぱにくっ付いているヒルが人に反応して「ザワザワ」と葉音を立てるのだそうだ。

 日本の山ヒルはそこまで凶暴≠ナはないようだが、そんな小説を読んでいる小心者の記者は山に入る勇気がなくなった。山ヒルの出現は全国的だそうだ。

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 話を元に戻す。都市の再生も大事だが、森林の再生も同じぐらい大事だと思う。住友林業がその旗振りのトップランナーとして様々な取り組みを行っているのが嬉しい。同社は住宅の受注・分譲戸数の延床面積の2倍に相当する植林活動を行っているのだから、どんどん受注・分譲戸数を増やして欲しい。


会場に置かれている奈良・吉野産のヒノキ。樹齢は住林の社歴と同じ320年とか。直径は1mぐらいあったか

(牧田 司 記者 2011年1月15日)