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満点☆3つ 三菱地所レジデンス・平和不動産

「ザ・パークハウス新宿タワー」


「新宿フロントスクエア」鳥瞰図(左側がマンション棟の「ザ・パークハウス新宿タワー」)


 三菱地所、三菱地所レジデンス、平和不動産、キャピタランド社は1月12日、新宿区北新宿2丁目で開発を進めている北新宿地区第二種市街地再開発事業(一街区)の名称を「新宿フロントスクエア」と決定し、オフィスと分譲マンションの概要を発表。同日、報道陣向けに内覧会を行った。

 同プロジェクトは平成6年10月に都市計画決定された施行面積約4.7ヘクタールの北新宿地区市街地再開発地の一角にあり、平成27年3月までに4つの街区を整備することになっている。

 一街区は三菱地所らが平成19年に約1,154億円(坪2,639万円)で取得、開発を進めてきた。プロジェクトは地上35階建て延床面積約93,000 uのオフィス棟と地上20階建て298戸のマンション棟「ザ・パークハウス新宿タワー」から構成されており、オフィス棟は今年5月に竣工予定。マンション棟は2012年3月に竣工予定。

 オフィスは、一フロア約511坪、天井高2.9m (一部3.0m)で、1〜2階にはスーパー、コンビニ、3階にはクリニックモールが開業予定。環境に配慮した取り組みも行い、CASBEEの最高ランクのSに相当するレベルを確保。地域の防災拠点としての役割も果たす。

 マンションは、専有面積48.07〜114.88u、価格は未定。設計・施工は鹿島建設。免震工法を採用しており、ヒルトンホテルと提携、デリバリーサービスも受けられる。約750uのプライベートガーデンも整備される。都の「マンション環境性能評価」制度の旧制度でオール満点の☆3つ(12個)を獲得している。売主は三菱地所レジデンス(三菱地所から事業継承)と平和不動産。2月末から販売開始される。

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 オフィスのことはよく分からないが、新宿では大企業テナントの移転などもあり、既存ビルの空室率が高まっていると聞いている。三菱地所都市開発事業部担当部長・渡部哲也氏も「新宿のオフィスマーケットは厳しいと承知している」厳しい市場に言及しながら、「底入れ感はでてきており、これからリーシングに力を入れていく」と語った。

 高層階からは南西方向に富士山も見えるそうで、東−南−西側が開放されたコの字型のオフィス空間は快適なようだ。

 マンションについては、坪単価は公表されなかったが、40u中心の1LDKが4,000万円台、50〜60uの2LDKが5,000〜6,000万円台、70〜80uの3LDKが7,000〜8,000万円台とのことだった。坪単価に換算すると330万円台ぐらいになる模様だ。ターゲットはDINKSや単身者。


「新宿フロントスクエア」完成予想図

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 マンションの単価は、立地・アクセスだけなら極めて安い。何しろ都庁や西新宿のビル群まで徒歩10分もかからない。東京医大まで徒歩5分だ。新宿中央公園まで徒歩8分の近さだ。

 都のマンション環境性能評価で4つの評価項目とも満点の☆3つ(12個)を獲得していることについて、記者が「新制度に照らし合わせると何個ぐらい獲得できるか」聞いたところ、三菱地所レジデンス街開発事業部開発第二グループ長・中島秀敏氏が「2009年基準では4項目全てにおいて星3つを取得しており、2010年基準で追加された『太陽光・太陽熱利用』についても、各住戸の電気代を約10%低減させたり、共用部の屋上で作る『太陽光発電』を組み合わせた独自のエコシステム『ソレッコ』を採用するなどして対応している」と答えたように、最高レベルのマンションだと思う。「鹿島の免震」も価値がある。

 ちなみに環境性能評価制度の2010年基準で満点の星15個を獲得したマンションは1件もなく、14個を獲得しているのが同社の「晴海」のプロジェクトのみだ。

 しかし、中島氏も「ターゲットはDINKS」と語ったように、子育てファミリーの需要が見込めないエリアであるのが難点だ。ここが他のエリアと異なる「新宿」の特殊性だろう。新宿は、オフィス・商業の一等地ではあるが、住宅地としてのポテンシャルは低い。

 黒川紀章の遺作の一つ、西新宿の「コンシェリア西新宿 TOWER ' S WEST」612戸(非分譲住戸430戸、旧売主分譲済住戸15戸含む)も結局ほとんど売れずに住友不動産が取得して再販することになった。分譲当初は坪単価400万円ぐらいしていたはずだ。

 当時とは比較にならないほど市場は変わってしまったが、坪単価330万円台というのは割安感がある。モデルルームの仕様レベルも高い。ドラム式洗濯乾燥機付きというのも特徴の一つだ。

 港区や中央区、品川区などは定住人口の増加に力を入れている。新宿区も幼保一体の施設をつくるようだが、もう一つ熱心さが伝わってこない。新宿エリアにはまだまだ再開発予定地がある。オフィスや商業施設だけでは街づくりは難しい。職住近接の利便性が生き、ファミリーも住みたくなるような街づくりを目指して欲しい。


プライベートガーデン(イメージ図)

(牧田 司 記者 2011年1月12日)