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巨大地震の影響 不動産各社 商業施設を休業

自粛ムードも広がる

 
新宿京王デパート(左)と新宿ルミネのお知らせ

 11日午後に東日本を襲ったわが国観測史上最大の巨大地震に住宅・不動産業界は敏速に対応、安全確認のためと交通手段が混乱していること、電力不足が懸念されていることなどから商業施設を休業。イベントなども中止するなど自粛ムードが広がっている。今後の経済活動に深刻な陰も落としている。

 地震にもっとも早く対応したのは三井不動産。被災当日に「3月11日の『平成23年東北地方太平洋沖地震』による被害状況について」と題するリリースを発表。地震対策本部を設置して同社施設の被害状況の確認を行うとし、都心部の商業ビルを除き、「アーバンドック ららぽーと豊洲」など18カ所の首都圏大型商業施設の営業を12日は休業すると発表した。12日、13日に予定していた「エコハロー!衣料支援プロジェクト」も中止すると発表した。

 同社広報は、「13日現在、当社と関連会社などの人的被害や施設について大きな被害はないことが確認できた。『アウトレットパーク仙台港』については、避難中でもあり、未確認の部分もある。都心の11の商業施設については13日も午後6時までの営業とする」としている。

 三菱地所も12日、同社の施設や人的被害はないとしながらも、東日本の商業施設の営業を休止すると発表した。

 住友不動産は12日、被災者に対してお見舞い文を掲載、コールセンターを設置して住まいに関する相談を受け付けると発表した。

 東急不動産は、ホームページトップに、「東北地方太平洋沖地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災者の方々に、心からのお見舞いと追悼の意を表します。いち早くの復興と普段どおりの生活が少しでも早く訪れますよう願っております」との表示のみとし、マンション情報などは別画面で表示する措置をとった。東急リバブルは、12日に渋谷のホテルで予定されていた衣笠祥雄氏の講演を中止した。

 住宅メーカーの積水ハウスは、ホームページでお見舞い文を掲載するとともに、東日本地区のカスタマーセンターの表示を行っている。大和ハウス工業も同様の文章をホームページに掲載している。

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 記者は12日、スカイライトチューブの「太陽光照明システム〜体感・見学会〜」の取材で出かけたが、電車が間引き運転していたため通常なら新宿から1時間ぐらいで着くはずが、1時間30分もかかった。取材を終え新宿に戻ったが、新宿ルミネは全店終日休業、京王デパートは午後6時で閉店した。60歳代のデパート利用客は「デパートの営業が6時に終わるのは40年も昔のこと」と話した。記者がよく利用する回転すし屋は普段の10分の1ぐらいしかお客さんが入っていなかった。

 プロ野球オープン戦やJリーグなどスポーツも12日はほとんど中止となり、中央競馬、競輪などのギャンブルも中止が相次いだ。

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 商業施設の休業は一時的なものだろうが、地震によって受けた精神的ダメージが経済活動に及ぼす影響が懸念される。阪神大震災の経済被害額は約10兆円とされているが、今回は被害エリアが比較にならないほど広く、自動車メーカーや製造業などの工場の被害が出ている。原発問題も絡み、政局の不透明感と先行き不安で消費マインドの冷え込みが心配だ。経済被害額は阪神大震災をはるかに上回るのではないか。

(牧田 司 記者 2011年3月13日)