第22回RBA野球大会 水曜ブロック 決勝トーナメント1日目 旭化成ホームズ鈴木采配に見た強さの秘密 失策しがっくりうなだれる旭化成ホームズ杉本 |
その後、チームの世代交代が進み、最近は代打出場がほとんどだが、試合に欠場することはほとんどない。年齢は40歳をとっくに過ぎているはずで、単に力関係で言えば、杉本を上回る選手はチーム内に10人はいるかもしれない。それでも鈴木監督は杉本の出場の機会をいつもつくる。記者は杉本も好きな選手で、毎試合、杉本が来ているかどうか確認する。 ここに旭化成ホームズの強さがある。それぞれの選手の力を発揮させるのはもちろんだが、各人の能力をチームとして機能させるのが監督の役割だ。 もうひとつ、鈴木監督が「社会人のキャプティと闘い、収穫があった」と語ったが、その場面を紹介する。 3回の攻撃。2点を取り、なおも2死2、3塁。3塁走者は中山。ポラスの清水投手の投げた球を高橋捕手がそらすと、中山は猛然と本塁を突いた。判定は微妙だったが、結果はアウト。時間差にして1秒あったかどうかだろう。 本塁を突いたのは中山個人の判断か、あるいは3塁コーチャーの判断かは分からないが、おそらくあのような場面で3塁走者はどうするかをしっかりナインで確認しているはずだ。中山もベンチもそのタイミングを計っていたに違いない。 同じような場面は、他の試合にもあった。リスト−大和ハウスの試合だ。リストの攻撃。同点でアウトカウントこそ1死だったが、暴投の場面で、タイミングはセーフかと思われたが、3塁走者はスタートを切らなかった。結局、次打者が四球を選び、その次の打者が3塁ハーフライナーを打ち、3塁走者は帰塁できず併殺となって得点できなかった。 試合後、倉持監督は「ミスだらけ。1つ1つ集中しないと、ドームなんかに行けないぞ」と叱咤激励していた。 鈴木監督が「収穫があった」というのは、より高度な野球を目指そうという意味だろう。初陣ポラスは完敗したが、貴重な経験ができたという意味では何試合分にも相当する価値のある試合だった。 |
(牧田 司 記者9月16日) |