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第22回RBA野球大会

モリモトの選手と「596300(ゴクロウサン)会」

デザイナーズマンションとは対極の居酒屋


「オイ、オイ、煙大丈夫か」
 

 デザイナーズマンションのモリモトとは対極の居酒屋だった。最初から嫌な予感があった。 JR 蒲田駅近くのある居酒屋。 RBA のホームページアクセス数が「596300回」を達成した記念の「596300 (ゴクロウサン)会」会場だ。

 木造モルタル造りの2階建ての2階に店舗はあった。外階段はギシギシと悲鳴を上げた。入り口は内開き戸だった。蝶番は耐用年数を過ぎていたのだろう。何とか押し開き、店舗内に入ったとたん、階段を伝わってきた熱気と、内にこもっていた熱気が渦を巻き記者を襲った。ドアから手を放したらバタン≠ニものすごい音を立てて閉まった。「ウワッ」ジョン・ハートのミステリ小説を読んでいるさなかだったので、てっきり誰かに襲われたのかと思った。

 床は塩ビシート張りで、油でヌルヌルとした感触が靴底を通じて伝わってきた。冷房は生暖かい空気をかくはんするだけで、たまらず上着を脱いだ。4人掛けのテーブルを寄せ集めた席は、それぞれのテーブルの高さが異なるために平らではなかった。昔の学食のほうがはるかに優れていた。店のスタッフは白の運動靴に黒のズボン、赤のTシャツ。たどたどしい日本語をしゃべった。場所を間違えたかと思ったが、間違いではなかった。「2時間飲み放題、食い放題で2,890円」の店だった。時間厳守の店(多く飲ませないためか)で、予約の8時30分に10分早かった。

 予約を入れたのはモリモトの吉本主将。「普通の店だとすごいことになっちゃう」と、この店を選んだという。「すごいことになっちゃう」とは収拾がつかなくなるということのようだ。かつてファミレスで飲み、10人ぐらいのメンバーで3万5,000円かかったという。

 出るは出るは。キムチにポテト、刺身に寿司、カルボナーラ、やっこ、さば寿司、焼肉、ウインナ…。飲み放題の焼酎のロックは、ものの数分で氷が溶けた。コップがまたすごい代物だった。市販されているヨーグルトの空き瓶を代用したものだった。

 焼肉は、赤々と燃えた炭火をスタッフが無造作に運び、程なく黒煙が巻き上がり、店舗内を満たした。他の客もいっせいに「大丈夫? 」と不安の声を漏らす。換気扇は回っていたが、空気を外に吐き出す元気がなかった。

     
左はシュウマイではなく、記者の嫌いなにんにくの揚げたもの。右はソーメンのようなスパゲティカラボナーラを食べるのはだれ

◇     ◆     ◇

 酔った勢いで、年甲斐もなくバカなことを口走ってしまった。モリモトの選手たちの挑発に乗ってしまった。「もし、うち(モリモト)が伊藤忠ハウジングさんに勝ったら、頭剃りますか」と。一瞬、これまで同じ賭けをし、2回坊主にさせられたことが頭の片隅によぎったが、酔いが勝った。「あんたたちが勝てるわけがない。勝つ可能性は1割どころか、3分もない。3分刈りにしてやる」と。


モリモトの伊良部

◇     ◆     ◇

 酔いがすっかり覚めた後で、「バカなことをした」と反省はしたが、後悔はない。モリモトが勝てる材料は、気の毒だがほとんどない。エース小桧山は奥さんの出産予定日で欠場は間違いないし、綱田は肩痛だ。六角監督は持って 3 回までだろう。モリモトが万が一勝つとしたら、名前は聞き忘れたが、あの伊良部投手そっくりのモリモトの伊良部≠ェ先発し、あれよあれよという間に完投してしまうことぐらいか。

 モリモトがいいのはチームワークのよさだ。 モリモトの選手たちは、この 3年間、甲子園野球を観戦するため1泊2日の甲子園観戦旅行を行っているという。アルプス席に陣取り、早朝から500円のカレーうどんに始まり、カレーライス−時にはカツカレー−カレーうどんで締めるのだという。 しかし、野球はチームワークだけでは勝てないスポーツだ。

 まさか、この記事を見て、伊藤忠ハウジングの面高選手も杉山選手も記者の坊主頭見たさに負けることはあるまい。負ければ予選敗退なのだから…。

 もしモリモトが勝ったら「あの時は酔っ払って心神耗弱状態だった」と主張するつもりだが…認めてくれるかどうか。負けたら「残念会」にしてやろう。結果は明日出る。


居酒屋前の路上で

(牧田 司 記者7月13日)