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全国賃貸保証業協会

賃料支払い情報のDBが始まったが…

 

 業界紙の報道によると、一般社団法人全国賃貸保証業協会は2月1日、賃貸住宅の賃料支払い情報データベース(DB)の登録を開始した。同協会加盟会社13社の賃料支払い情報を月間約10万件、年間100万件程度をデータベース化するという。 「うっかり滞納」などの情報は「少ない」としている。「ない」とは書かれていなかった。

 賃料支払いの情報のDBについては、悪質(悪意)な賃借人の情報ばかりでなく、うっかり滞納や失職、病気などやむを得ない賃借人の情報も登録されるのではないかという問題提起もされているが、同協会はこの点について、平成21年9月29日発表資料で以下のように報告している。

 「信用情報については、ブラックリスト構築との誤解がありますが、ブラックリスト構築ではなく、代位弁済情報という客観的情報を蓄積するものであり、情報自体に白黒をつけるものではありません。信用情報の目的は、第一には、賃料支払い情報の蓄積によって、賃借人の信用補完をより円滑に行うことであり、併せて反復継続的滞納の抑制を目指すものです。なお、保証会社各社は既に数万から数十万の信用情報を各社ごとに蓄積しており、各社は、ただ一度の滞納や失職等の一時的滞納に対して、安易に保証拒否することのないよう個別の事情に応じて審査を行うよう努力しています」

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 同報告文の「信用情報については、(中略)代位弁済情報という客観的情報を蓄積するものであり、情報自体に白黒をつけるものではありません。信用情報の目的は、第一には、賃料支払い情報の蓄積によって、賃借人の信用補完をより円滑に行うことであり、併せて反復継続的滞納の抑制を目指すものです」を文字通り読む限り、うっかりミスその他事情による滞納情報は記載しないとは読めない。

 そのような情報を盛り込むか盛り込まないかを各社が事前にチェックできるものだろうかという疑問も湧く。代位弁済情報は、例えば○月○日時点での代位弁済を記録として残すものだろうし、代位弁済契約とは、賃借人の個人的な理由を斟酌して払ったり払わなかったりする類のものでないと考えるがどうだろうか。

 そもそも、10万件のうち2〜3%と思われる2,000〜3,000人(もっと多いのかも)の滞納者に電話なり手紙なりで滞納の理由などを聞くことなどほとんど不可能ではないだろうか。仮に滞納者からその理由が示されたとしても、善意か悪意かをどのように判断するのだろう。滞納者への問い合わせなどにかけるコストも大変なものになると思うがどうだろう。

 同協会も業界紙も「ブラックリストの構築につながらない」と言えば言うほど、記者などは「果たしてそうか」と考えてしまう。「うっかり滞納」もデータとして残ると堂々と言えばいい。情報そのものには「白」も「黒」も「善意」も「悪意」もない。その情報をどう管理・運営するかだ。

(牧田 司 記者 2010年2月2日)