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 寡占化進む千葉のマンション市場

野村不動産が約4割占める



 国土交通省から9月の新設住宅着工戸数が発表された。総戸数は71,998戸(前年同月比17.7%増、4カ月連続の増加)となり、利用関係別でも持家は27,670戸(同12.9%増、11カ月連続の増加)、貸家は23,696戸(同2.2%増、2カ月連続の増加)、分譲住宅は20,067戸(同58.9%増、7カ月連続の増加)となり、回復傾向が鮮明になった。

 マンションは10,524戸(同124.8%増、4カ月連続の増加)となり、首都圏は前年同月比216.4%増の6,897戸と大幅に増加し、全体の着工増を牽引した。分譲戸建ても引き続き増加した。

 首都圏全体では今年4月の6,022戸を超える今年最多で、都県別では東京都が4,165戸(前年同月比185.7 %増)、神奈川県が827戸(同473.0%増)、埼玉県が825戸(同245.2%増)、千葉県が1,080戸(同228.3%増)となった。

 各都県とも激増しているが、とくに注目したいのが千葉県だ。他の都県も増えてはいるがリーマンショック前と比べると毎月の着工戸数としてはそれほど驚くべき戸数ではない。最近のマンションの販売好調、在庫の減少、着工の激減など市場の変化にデベロッパー各社が対応しているということだろう。

 同県の平成21年度のマンション着工戸数は2,187戸しかない。今年9月だけで昨年度1年間の着工戸数の約半数が着工されたことになる。さらに、同県での今年1〜8月の着工戸数は1,196戸だから、8カ月分の戸数に匹敵する戸数が9月に着工されたことにもなる。

 記者が興味のあるのは、誰がどこで着工したかだ。国交省のデータはそこまで教えてくれない。もともと千葉県は中小デベロッパーの供給比率が高いエリアで、着工増は中小デベロッパーも動き出したと思いたいが、そうではなくて大手デベロッパーの寡占化が進んでいると見るのが正解だろう。

 特に野村不動産の積極的な姿勢に注目したい。同県下では平成21年以降、今年の9月まで4,004戸が着工されているが、同社はこのうち少なくとも1,000戸を占めるはずだ。同県のマンション市場の2割を同社が占めることになる。

 数百戸規模の「稲毛海岸」が9月に着工されていれば、4割近くを同社が占めるということになる。

 このほか、三井不動産、住友不動産、大京などを含めると9割ぐらいが大手(商社、大手系含む)による分譲だ。

 ついでに言えば、埼玉県で9月に着工された825戸のうち約半数の424戸は大京の「三郷中央」駅前ではないだろうか。

 このように首都圏郊外部での大手の供給寡占化が進めばどのような市場が形成されるのか注視したい。

(牧田 司 記者 2010年11月1日)