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「アリオ橋本」で「ユニバーサルデザイン設備見学会」


17日オープンする「アリオ橋本」


 セブン&アイ・ホールディングスが9月17日にオープンする神奈川県相模原市の大型複合商業施設「アリオ橋本」で「ユニバーサルデザイン設備見学会」を取材できる機会に恵まれた。

 開業を3日後に控えた14日だった。この日は、「アリオ橋本」に隣接する三菱地所 ・藤和不動産「MID OASIS TOWERS (ミッドオアシスタワーズ)」の竣工見学会があった。マンションを見学したあと、旭化成ホームズが「アリオ橋本」に出店するショールーム「エコーション」を取材しようと同施設に向かった。そのとき、「ユニバーサルデザイン設備見学会」の看板が目に飛び込んできた。

 「ユニバーサルデザイン」は、もう10年ぐらい前からずっと追っかけてきたテーマだ。「エコーション」も魅力的だったが、「ユニバーサルデザイン」のほうがより魅力的に映った。そこで早速、取材を申し込んだ。アポなしなので断られるかと思ったが、承諾を得られた。写真もOKだった。

 見学会に集まったのは、車椅子利用者やお年寄りなど約40人。同社が地元の社会福祉協議会を通じて呼びかけた人たちだった。参加者は、店舗表示板、車椅子、車椅子利用者専用の駐車場、エレベータ、階段、多目的トイレ、ゆったり試着室などを施設のスタッフに案内されて見て回った。

 それぞれの設備を利用しながら、参加者は「エスカレータ前の点字ブロックは上りか下りか分からない」「トイレのドアは自動ドアと引き戸の両方があったほうがいい」「点字ブロックは車椅子利用にとってバリアにもなる」「試着室はもっと奥行きが欲しい」などと率直な意見を述べた。その声をスタッフはしっかりとメモしていた。


事前の説明を受ける参加者

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 同社が、それまでのバリアフリーの取り組みからユニバーサルデザインを掲げ、店舗の改善に取り組んできたのは2000年からだ。以降、全ての施設で「普通の人と同じように楽しみたい」という身障者などの声を設備仕様に取り入れてきたという。この日寄せられた声も、今後の施設改善に参考にするという。

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 記者は、今回の取材を通じて車椅子利用者などの要望は際限がないと感じた。点字ブロックがその象徴だ。関係者によると、点字ブロックには「誘導ブロック」と「警告ブロック」の2種類しかないという。誘導ブロックは「進め」というサインだが、警告ブロックは「何かある」という信号のみで、進めば「何がある」とまでは示せないという。点字ブロックそのものが、車椅子利用者にとってバリアにもなるという。

 しかし、同社関係者が「ユニバーサルデザインの取り組みは終わりがない」と語ったように、一つひとつ現場の声を聞きながらしっかり取り組んでいくことが必要だとも思った。同時に、住宅・不動産業界のユニバーサルデザインへの取り組みはまだまだだと率直に感じた。

   
左から用意されている車椅子(30台)の扱い方について説明を受ける参加者、点字とカラーで分かりやすくした階段、点字ブロック

(牧田 司 記者 2010年9月16日)