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「3年後に花開く」−積水ハウス・和田会長

オーストラリアでの開発を加速


握手するレンドリース社のスティーブ・マッキャンCEO(左)と和田会長(帝国ホテルで)


 「3年後には大きな花が開く」−積水ハウスは9月10日、都内のホテルで記者発表会を行い、オーストラリアでの開発事業について同国のレンドリース社と事業提携したと発表した。発表会で挨拶した同社・和田勇取締役会長兼CEOは「2008年12月から事業を展開してきたが、3年後には大きな花が開く」と語り、売上高にして1,000億円を目指すと述べた。また、「当社のノウハウは、世界のどこの国でも通用する」と、海外事業展開に自信をのぞかせた。

 同社は2008年12月、現地子会社積水ハウスオーストラリア社(Sekisui House Australia Holdings)を設立。現在、カムデズヒルズ、リプリー・バレイ、ウエントワース・ポイントの3カ所で宅地開発と住宅販売を行っており、オーストラリア最大のデベロッパー・レンドリース社と提携することで、事業を拡大する意向だ。開発を進めているウエントワース・ポイントでは、すでに分譲マンション2棟516戸の9割以上を契約しており、9月には新たに162戸を販売開始する。

 事業提携によって、3カ所の事業にレンドリース社が事業参画するほか、レンドリース社が開発を進めるプロジェクト「ハイアット・クーラム」(開発面積約150ha 、448区画のマンション予定)と「セラータ」(同1,960u、144戸のマンション)に同社が参画する。また、中長期にわたって新規開発を手がける。

 ランドリース社は、1958年、シドニーに設立。同国を中心に20カ国以上で事業を展開する上場デベロッパー。時価総額は40億豪ドル。現在、同国で100億豪ドル、イギリスで50億豪ドルの開発事業を行っている。25プロジェクトを含む約65,000区画の宅地を保有。

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 記者は、和田会長が「当社のノウハウは、世界のどこの国でも通用する」と語ったことに注目した。同社はわが国最大のハウスメーカー・デベロッパーだが、同時に、おそらく世界最大のハウスメーカー・デベロッパーだろう。海外の住宅・不動産事情は分からないが、戸建てであろうとマンションであろうと施工精度はどこの国にも負けないだろう。わが国の自動車メーカーのように、住宅メーカー・デベロッパーが世界で活躍する時代もやってくるのではないか。

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 驚いたのは、レンドリース社が約65,000区画もの(販売用)宅地を保有しているということだった。これだけ膨大な販売用不動産を抱えていたら、わが国では破たんするのは間違いない。そこで、所有形態や土地所有に対する課税状況、地価の形成について同社のスティーブ・マッキャン(Steve Mccann)CEOに質問した。言葉の壁があり、聞きたい答えは得られなかったが、保有する宅地は地方自治体が所有する宅地のマネジメントも含まれるようだ。

 それにしてもそれだけの土地を保有できるのは、地価が安く、税制などの規制もそれほど厳しくないのだろうと判断した。シドニーのマンションの相場は、95uで50万豪ドルということだった。日本円に換算すると4,000万円ちょっとか。坪単価だと約139万円だ。地方都市の一等地の価格だろうか。

  
Wentworth Point                             Serrata


Hyatt Coolum   

(牧田 司 記者 2010年9月10日)