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 三井不動産 平成23年3月期第1四半期決算

分譲が減り大幅減益/戸建ては絶好調

 

 三井不動産は7月29日、平成23年3月期第1四半期の連結決算を発表。売上高は2,828億円(前年同期比9.2%減)、営業利益は183億円(同48.5%減)、経常利益は130億円(同55.0%減)、当期純利益は44億円(同72.1%減)となった。売上げ、利益とも減少したのは分譲住宅の計上戸数が例年に比べ多かった前年同期の反動。

 セグメント別では、「賃貸」は、前期稼働の「三井ショッピングパーク ららぽーと新三郷」や今期に新規開業した「三井アウトレットパーク 札幌北広島」などが収益に寄与したが、既存オフィスビルにおける空室率上昇の影響などもあり前年同期に比べ40億円減収、6億円減益となった。

 「分譲」は、個人向け住宅分譲の計上戸数が前年同期より大幅に減少し、収益性の高い大規模物件の比率が低下したため減収減益。セグメント全体では前年同期に比べ265億円の減収、177億円の減益。完成在庫は837戸(前期末912戸)に改善した。

 「マネジメント」は、商業施設の新規稼働や賃貸住宅の管理戸数が増加し、個人向け仲介事業で取扱件数が前年同期に比べ増加したことなどにより増収増益。セグメント全体では前年同期に比べ21億円増収、5億円増益。仲介件数は8,034件(前年同期は7,646件)で過去最高水準。

 四半期純利益は、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額14億円を特別損失に計上したこともあり前年同期に比べ116億円の減益となった。

 通期の業績予想は、売上高1兆4,400億円(前期比4.0%増)、営業利益1,210億円(同0.3%増)、経常利益950億円(同1.2%増)、当期純利益500億円(同16.8%減)を見込んでいる。

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 同社は同日、決算発表会を行った。記者が注目したのは戸建ての好調さだった。マンション自体も、今期計上予定戸数5,400戸に対して契約進捗率が55%(前期末は約25%)まで進んでいるように好調だが、戸建ては、広中聡経理部長が「初月契約率は90%を超える。絶好調」と語ったように、極めて好調だ。

 同社の補足説明資料によると、当第1四半期のマンションの売上高372億円(前年同期763億円)、戸数 713戸(同1,265戸)、戸当たり単価5,218万円(同6,034万円)といずれも減少しているのに対し、戸建ては86億円(同44億円)、戸数172戸(90戸)、戸当たり単価5,016万円(同4,990万円)と増加。戸当たり単価はそれでもマンションより安い。

 完成在庫も29戸で、過去9年でもっとも多かった08年3月末の115戸から大幅に減少。もっとも少なかった06年3月の20戸に迫る勢いだ。

 販売好調を受け、同社は今期約900戸の供給を予定している。同社の例年の戸建て供給量は約700〜800戸で推移しているから、かなりの供給増だ。

 弘中氏は「リーマンショック後は競合がなかったが、これから増えそうだ」と警戒していたが、果たして戸建て市場がどうなるか。

(牧田 司 記者 2010年7月29日)