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「美しい街」を希求し芸術と酒を愛した花形さんのお通夜


故・花形道彦氏の葬儀の祭壇

 元都市開発協会専務理事で、去る1月15日に死去した花形道彦氏(享年78歳)の通夜が1月20日、川崎市中原区の斎場で営まれた。喪主はご長男の花形卓志さん。

 祭壇には都市開発協会の会員だった西鉄不動産・徳永陽一社長、小田急不動産・間瀬卓正社長、相鉄不動産・久保田豊社長、西日本鉄道・竹島和幸社長などの献花が飾られ、花形氏と関わりの深かった都市協会員会社から同協会へ出向した社員で組織する会「わしの会」会員らも多数駆けつけ、花形氏を偲んだ。主な会葬者の声を拾った。(順不同)

  
左から小林氏、林氏              左から谷井氏、中村氏

 小林丈夫氏(京王電鉄OB) 美しい街のあり方、社会資本の整備はどうあるべきかなど都市問題の解決に心血を注がれた方。私は公共・公益施設整備問題で大変お世話になった。

 林隆太氏(名鉄不動産東京支店専務取締役支社長) 協会の発展のため、電鉄系デベロッパーの街づくりに力を注がれた。会員は 30 社ぐらいありましたから、出向社員の総数は80〜90名にのぼっているはず。「わしの会」はその出向社員の親睦会。

 中村昌弥氏(西武プロパティ−ズ住宅営業部営業チーム チームマネージャー)  30年も前から鉄道沿線の価値向上に力を尽くされた方でした。よく酒も飲ませていただきました。

 谷井健氏(横浜新都市センター総務部次長) 私は京浜急行出身です。豪快な方でした。わたしのようなひよっこでも親切に接していただきました。地価税の廃止に尽力されたのが記憶に残っていますし、阪神・淡路大地震にも気を遣っていただいたのが強く印象に残っています。

   
   鈴木氏                   嵐氏

 鈴木俊作氏(元京王電鉄OB) 私が出向したのは昭和59年からの1年間でしたが、やっぱりわれわれのようなサラリーマンとは違っていました。

 嵐圭史氏(前進座役者) (周囲から2枚目の声が飛んだが、「2枚目は大昔のこと」といなし)花形さんは文化・芸術にも大変造詣の深い方で、10年来、年に2度か3度の舞台を必ず見てくださり、私どものような独立独歩の団体も温かく支援していただいた。歌舞伎だけでなく、オペラにも詳しい方でしたね。一緒に芸術談義に花を咲かせていました。

 池田早苗さん(バリトン歌手、池田直樹氏のご夫人でメゾソプラノ歌手) 今から10年ぐらい前、サントリーホールで主人と2人のコンサートを開いたとき、来ていただいたときからのお付き合い。

    
池田さん                 松下さん

 松下美子さん(司書)  1976年から解散の2003年の解散まで都市協にお世話になりました。花形様はバイタリティのある方で、阪神・淡路大地震のとき、地震に関する資料収集に力を入れていらっしゃったのが印象に残っています。今日は最後のお勤めとして受付をさせていただきました。(松下さんは都市協の図書館の司書を務めていた。記者も図書館はよく利用させていただいた。図書の検索機能は国会図書館に負けないぐらい充実していた。松下さんからは「あなた、ここはサボるところじゃありませんからね。眠っちゃダメですよ」と目で諭されているようで、いつもシャキッとなった)

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 松下さんは、街づくりや都市問題についての情報収集を支援するサイト「まち・街・町」
http://www.geocities.jp/machi_libn45/index.html
を開設している。
  ページトップには「かつて東京・永田町に小さな専門図書館がありました。 ” まち ” と ” すまい ” の図書館として、学生・研究者、公務員、不動産業・建築 関係から旅行代理店のビジネスマンなど多くの人々に愛されたその図書館は、 2003年5月16日、ひっそりとその歴史に幕を下ろしました。
  このサイトは、その図書館のサービスを少しでも残したいとの願いから、開いたものです」とある。

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 花形氏のご遺族の方々からも話を聞いた。花形氏は、家に仕事を持ち込まない方のようで、愚痴などは一切話さなかったようだ。ご夫人の徳子さんに夫婦関係について聞いたら「えぇ、もちろん夫婦喧嘩ばかりしておりました。えっ、これ、記事になるんですか。それでしたら『いつもラブラブでした』と書いてください」と仰った。

 花形氏は、日記もつけており、徳子さんによると「これぐらい(数センチ)の厚さで、これぐらい(約50センチ)の長さになります」とのことだった。

 元都市協の会員会社が1社10万円も負担し書籍にすれば立派な遺作になるはずだ。貴重な学術書か波乱万丈の大河ドラマ小説になる。また、都市協を解散したお詫びにもなると書けば、いいすぎだろうか。

元都市開発協会専務理事・花形道彦氏が死去(1/19)

(牧田 司 記者 2010年1月25日)