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 住友林業のマンション事業に期待

 昨日(6月15日)住友林業と長谷工コーポレーションの JV マンション「ザ・ハウス港北綱島」を紹介したが、住友林業のマンション事業について補足記事を追加する。

 同社がマンション事業に参入したのは2007年の5月に平成20年3月期を初年度とする「長期経営計画・ PROJECT SPEED( プロジェクト スピード ) 」を策定してからだ。

 同経営計画では、「現在収益の中心となっている『コア事業』(『新築注文住宅事業』、『木材建材の流通及び製造事業』)を更に強化しつつ、そこで生み出された利益や人材等の経営資源を、今後当社グループの柱となるべき事業である『重点育成事業』(『海外事業』、『不動産事業』、『リフォーム事業』)に集中的に投入することで、グループ全体の総合力の強化を図っていく」としている。

 そして、「各事業で設定した計画を確実に実行することで、真に『社会に有用な企業』になること「世界の一流企業としての『企業品質』を備えた企業になることを目指す」と謳っている。具体的には、自ら土地を取得して一次取得者向けの分譲戸建住宅事業や賃貸事業などの不動産開発事業を行うとしている。

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 この経営計画の具現化の一つがマンション事業だ。同社の自社分譲マンション第一号は、昨年2月に竣工した「ディアフォレスト橋本台」だ。相模線南橋本駅から徒歩13分の9階建て全62戸で、施工は長谷工コーポレーション。記者は物件を見てはいないが、市況が悪い時の分譲で、マイナーな相模線の物件ということで販売には苦労したようだ。

 第2弾が、昨日紹介した「ザ・ハウス港北綱島」だ。この「綱島」もバス便と工業地域というハンディを負っている。

 さらに言えば、「U's−style」は1次取得層向けよりアッパーミドルを対象とした物件でこそ高い評価がえられるような気がしてならない。「U's−style」を採用することで、どの程度のコストがアップするか分からないが、少なくとも100万円(300万円と聞いても驚かない)はアップするはずだ。一時取得層向けではこのコストアップはユーザーにとって負担は軽くない。

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 順風満帆の船出ということにはならず、同社は今後の供給についても慎重な構えを見せている。続々と新規物件が供給されることは当面なさそうだ。

 しかし、記者は、市況が悪いからといって、出だしにつまずいたからといって二の足を踏んでほしくない。「社会に有用な企業」を目指すなら、同業の積水ハウスや大和ハウス工業、旭化成ホームズのようなマンション事業に育ててほしい。同社の力を持ってすれば、実現可能だと信じて疑わない。何しろ日本有数の山持ち企業だ。木造の住宅ならどこにも負けないだろう。

 確かに、マンションはコンクリートだが、専有部分の多くは木造だし、住まい方提案という面では同社がもっとも得意とするところだろう。大手デベロッパーにはない、戸建てメーカーのノウハウを盛り込んだマンションを供給してほしい。

(牧田 司 記者 2010年6月16日)