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「R.E.port 家賃督促現場レポート」 驚きと疑問

 久々に面白い記事を読んだ。不動産流通研究所の「不動産業務のためのサポートサイトR.E.port」に掲載されている「記者が密着取材!!家賃督促現場最前線 家賃保証会社の業務実態とは」というものだ。掲載されたのは4月16日とあるからもう1カ月近く前のものだが、同社にも了解を得てリンク先を貼り付けたので、是非読んでいただきたい。

 記事は、「…“追出し行為”と呼ばれる乱暴な取立て行為をはじめとしたトラブルが、昨年来マスコミから取り沙汰されていた…一方で同業界の実務の実態については、ほとんどの方が知らないのが実情ではないだろうか」とし、その実態を伝えるため、同研究所の記者が家賃保証会社のスタッフに密着取材し、家賃督促の現場を伝えるものだ。

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 家賃滞納者への督促行為がどのようなものであるのか、記者も興味があった。知らされるのは被害者側からのものばかりだから、かなりあくどい業者ばかりだと思っていた。

 今回のレポートだけで全貌が明らかになったわけではないだろうが、その一端は理解できたような気がする。

 家賃督促を「家賃パトロール」と呼ぶことにも驚いたが、びっくりしたのはそのハードな仕事内容だ。滞納者を訪ねるときには、防刃チョッキと防刃手袋の着用が義務付けられているともあるから、命がけの仕事でもあるようだ。

 「新卒で入社したU氏は、今年で勤続3年目。若手ながら、すでに何百件もの家賃督促を経験したエキスパートだ。家賃督促は1日平均10〜20件、月にしておよそ100件に上る。それを同社では35人のスタッフで担当していると」とあるから、単純に計算して約3,500件にのぼることになる。そのうち警察沙汰になるのは何件あるのだろう。

 レポートは、スタッフが4件訪ねいずれも空振りに終わったことを伝えているように、簡単には家賃を回収できないことも伝わってくる。

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 いくつか疑問も湧いた。この会社は月に約 3,500件も家賃督促を行うというから、1件当たりの滞納額を仮に20万円とすると7億円にものぼるが、そんなに多いのだろうかという率直な疑問だ。同じ人を何回も訪ねるのだろうから、滞納者の数にすればその何分の一だろうと理解したが…。

 さらに、35人のスタッフを抱えれば人件費その他で毎月千万円単位の経費がかかるはずだが、それで事業採算が成り立つこの事業の不可思議さも抱いた。ある保証会社のホームページで調べ、なるほどと納得した。入居時にも更新時にもかなりの金額を入居者が負担している。つまり、この制度は、大家も保証会社もそれほどリスクを負わない制度だということだ。

 もう一つは、滞納2カ月で「家賃パトロール」を行うことだ。家賃は、一般的に前納制だ。家賃を2カ月滞納したとしても、実質的には1カ月ではないか。希薄な人間関係がそうさせているのだろうが、貸主や保証会社はそれほど厳しい督促を行わなければならないのか。礼金や更新料を徴収しながらだ。

 これでは、賃貸脱出派がどんどん増えマンション購入に走るだろう。 もちろん、賃貸住宅の居住性が分譲マンションと比べものにならないほど劣ることが主因ではあるが…。

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 同研究所の記者にお願いしたい。もう一度でも二度でも、是非続編を書いて欲しい。そして家賃保証会社の実態に迫って欲しい。(記者もやりたいが、やるならあくどい取立てをするところを取材したいが…恐怖が先に立つ)

「不動産業務のためのサポートサイトR.E. port」

「記者が密着取材!!家賃督促現場最前線 家賃保証会社の業務実態とは」

(牧田 司 記者 2010年5月12日)