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単価だけでは計れない価値あり

三井不動産レジデンシャル

「パークシティ柏の葉キャンパス 二番街」


「パークシティ柏の葉キャンパス 二番街」完成予想図


 三井不動産レジデンシャルは4月22日、つくばエクスプレス・柏の葉キャンパス駅前にて開発中の「パークシティ柏の葉キャンパス 二番街(総戸数880戸)」のマンションパビリオンを4月29日(木)にオープンすると発表した。モデルルームオープンを前に同日、記者内覧会を開いた。販売は5月下旬、A、E、F棟から開始する。

 物件は、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から徒歩5分、柏都市計画事業柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業地内に位置する敷地面積約32,000平方b、建物は7階建て〜25階建てA〜F棟まで6棟全880戸(A棟136戸、B棟135戸、C棟232戸、D棟232戸、E棟30戸、F棟115戸)。専有面積は約42〜142平方b、価格は未定だが、坪単価は160万円台の予定。竣工はA ・ B棟が平成23年7月、C ・ D棟が24年4月、E ・ F棟が22年4月の予定。

 柏の葉キャンパスエリアは、同社を始め千葉県・柏市、東京大学、千葉大学などの公民学が連携し、世界に誇れるキャンパスシティを目指し、「環境」、「健康」、「創造」、「循環」をテーマに、約273haにおよぶ街づくりが推進されている。

 同社は、既に竣工した商業施設「ららぽーと柏の葉(平成18年11月開業)」や分譲マンション「パークシティ柏の葉キャンパス一番街(21年3月全体竣工)」(977戸)を始め分譲マンション・賃貸マンション、商業施設、ホテルなどの複合開発を計画している。

 今回の「二番街」は、「環境」・「アート」・「学び」という3つのキーワードのもと、時を経るにつれて、街並みやコミュニティが成熟し、価値を高めていく“経年優化”の住まいづくり、街づくりを目指す。

  
共用施設「コモン」                 ビオトープ

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 今日は、同社の内覧会を含めマンション見学会や記者発表会など4件が重なった。全て出席したかったが、この「柏の葉」を優先した。「一番館」とどう違うのか、新しい提案はどうなのか、価格はどうなるかを聞いたり自分の目で確認したかったからだ。

 まず、価格から。坪単価は160万円台としか明らかにされなかったが、極めてリーズナブルな価格だろう。このTX沿線は開業を前後してマンションなどが圧倒的な人気を呼んだが、リーマンショック後は一転して人気が離散、値下げラッシュが続き惨憺たる状況となっている。

 記者は、開業前からこの沿線の将来はないと思っていた。すでに破たんしているはずの官主導の街づくりが行われているからだ。マンションの人気も一時的なものだろうと思っていた。リーマンショックは読めなかったが、間違いなく失速すると考えていた。

 しかし、この「柏の葉」だけは成功すると思っていた。鉄道開業前から街の将来像が示されていたし、鉄道開業まもなく「ららぽーと」も開業した。民(三井不動産)や学(東大・千葉大)が街づくりに係わっていることも成功する要因の一つだと考えていた。

 街づくりは着々と進んでいる。「一番館」の単価168万円は極めて割安だと思っていた。今回の「二番館」はさらにグレードアップしていることが確認できた。なによりも、コミュニティ形成を入居者だけに任せないで、同社や大学などが一緒になって進めていこうという姿勢がいい。

 間違いなく、マンション単価では図れない価値があると思う。同社が周辺の市場価格≠ノあわせ価格を下げないのは大正解だ。“経年優化”は実現するはずだ。街の価値は、ハードもそうだが人(コミュニティ)が創るものだ。

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 プランも設備仕様もいい。一部の住戸を除いてスパンは6.5メートル以上だ。このようなマンションはそれほどない。スペックで驚いたのは建具・ドアだった。同社のパークホームズの仕様は今年から劇的に変わったが、この「二番館」のドアは突き板と間違えそうな仕上げになっていた(メーカーは清水)。収納はソフトクローズ機能付きだし、引き戸はストッパー(一番館とは異なるタイプ)もついていた。

 それと、今回の「二番館」の特徴の一つである共用施設の充実についてだが、入居者だけでなく、一般の人とともにコミュニティを形成しようという狙いがよく分かる。敷地中央に幅20メートルの駅まで一直線の「グリーンアクシス」やビオトープも設置される。

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 もう一つ、嬉しいことを紹介しよう。同社千葉支店営業室主管・堂前裕介氏は、一番館の入居者の属性について説明したが、「 2 人家族が約5割、3人が約3割。年代は半数が30代」と語り、「30代は、いわゆるDINKSではなく、子育て予備軍」と付け加えた。

 つまり、この地を永住の地にして子どもを育てようという若い世代が主流を占めていることだ。この話を聞いて、記者は嬉しくなった。「若い世代も捨てたもんじゃない」と。しっかり将来を見据えているではないか。単価以上に価値があることをユーザーが何より理解していることが嬉しい。

 「ららぽーと」では様々なカルチャー教室が紹介されていたが、告知板にはたくさんある教室の中で10を超える教室が定員いっぱいで締め切られたとあった。既存の郊外住宅地では考えられないことだろう。

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 シアタールームでも驚いたことがある。シートに座ったら、ぐにゃっとした感触がお尻に伝わった。砂が入っているのだろうと思ったが、聞いたら「ビーズ・クッション」とのことだった。同社の幕張のマンションでは、ウォーター・クッションが用いられていたが、こんなところにも面白い工夫がなされているマンションだ。

  
ファミリールーム(100uのモデルルーム)        子ども部屋(同)

(牧田 司 記者 2010年4月22日)