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活況を呈す戸建て分譲

親世代と同じ消費行動を起こす子世代が背景

 

 国土交通省が発表した平成22年2月の住宅着工戸数によると、持家が4カ月連続して前年同月比で増加した一方、貸家、分譲住宅が15カ月連続して減少した。

 記者が注目したのは、分譲戸建ての増加だ。分譲住宅全体では13,069戸で、前年同月比25.6%減だったが、内訳はマンションが4,619戸で同57.0%の減少であるのに対し、対照的に戸建ては8,328戸と同25.5%増加している。2 カ月連続の増加だ。

 マンションが減る一方なのに、なぜ戸建てが増加するのか。第一の要因は、いうまでもなく地価が下落し取得環境が好転したのと、分譲各社が低価格路線にシフトしていることがユーザーにアピールしているということだろう。外構などにコストをかけなくても売れるのは、無理をして余分≠ネものを買わない今の消費動向にもマッチしているのかもしれない。

 この動きは当分続くのではないだろうか。資金回転率の高い戸建て分譲こそ、中堅のデベロッパーにとって最適の事業だし、金融サイドにとっても融資しやすいからだ。

 もう一つ、このような動きを加速させる背景があるような気がする。それは、戸建ての購入者像にヒントがありそうだ。現在の住宅需要層の主流は30歳代の団塊ジュニアもそうだが、もう少し年齢が高い30歳代後半から40歳代前半も大きな比重を占めているはずだ。親世代は、団塊世代より上の、年齢にして65歳から上の層だ。

 65歳から上の層の住宅取得期は、まだ土地神話が機能している時代で、その人たちは賃貸−マンション−戸建ての住宅すごろくを信じて疑わなかった世代でもある。昭和50年台からバブル崩壊まで、首都圏近郊の住宅地はいうまでもなく、神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木県南の遠隔地の戸建てや、都心近くの敷地が15坪、20坪のミニ開発戸建てに殺到した世代だ。

 記者は、現在の分譲戸建て市場を支えているのは、このような65歳から上の層の子世代に思えてならない。例えは適切ではないが、親から虐待を受けた子どもは、親になって同じように子どもを虐待するといわれるように、戸建てマイホームの取得に人生を賭けた親と同じ消費行動をその子どもが行っているとしか思えない。住宅資金の贈与を受ける際にも親の意向が強く働いているに違いない。わが街のサンリオピューロランドの来館者にもそのような傾向が強いというから、因果関係はあるのだろう。

(牧田 司 記者 2010年4月2日)