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東京建物 「諏訪2丁目住宅」建替え決議

 640戸から1250戸へ 還元率は100%


建替えイメージ図(左が建替え後)

 

 東京建物は3月29日、同社が事業協力者として事業参画している多摩市の多摩ニュータウン内にある「諏訪2丁目住宅」の建替え決議が28日の管理組合臨時総会で成立したと発表した。多摩ニュータウン内での分譲住宅の建替えは今回が初めてで、一括の建替えとしては全国で最大規模となる。現在の余剰容積を活用する方法により現戸数以上の住宅数を建設。還元住戸以外を同社が取得し一般分譲する予定。

 「諏訪団地」は、小田急線小田急永山駅から徒歩7分、または京王線京王永山駅から徒歩8分、多摩市諏訪二丁目に位置する敷地面積約64,000平方b、鉄筋コンクリート造5階建て23棟全640戸((1戸当たり専有面積は48.85平方b)、入居開始は昭和46年。

 建替え後の延べ床面積は約120,000平方b(地区計画により容積率は150%)、11〜14階建て全7棟1250戸。専有面積は43〜98平方b。24年初旬に着工、完成は25年冬の予定。基本設計は松田平田。

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 「諏訪団地」は、記者が住む同じ多摩ニュータウン内にあり、建替え決議をまずは歓迎したい。建替えが議論され始めたのは平成に入ってからだが、新住法や都市計画法、一団地認定などの問題が多く、また事業協力者も当初の旭化成ホームズから同社に変わるなど紆余曲折を経て今回の決議となった。

 現地の法定容積率は200%だが、地区計画により150%になっている。高さ規制もかかっており、最高35メートルとなっているが、特例により「市長が認めた場合」1.5倍(52.5メートル)まで緩和される規定がある。計画では最高14階建て(1層を3.1メートルとすると約43メートル)となるが、特例をクリアするのは間違いない。

 ただ、多摩市は現在、都市計画法で建築物の絶対高さ規制をかけようとしており、容積率が200%の地域は23メートルとなっており、面積要件による特例を含めても絶対高さは35メートルだ。同じ法律の中で条文が異なると、高さ制限も異なってくるというのが記者には分からない。

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 もう一つ興味深いのは権利変換率(還元率)だ。関係者によると、還元住戸の位置によっては従前の専有面積約48平方bを確保できるという。同社も「100%を目指す」としている。

 これだと、100平方bはともかく、70平方bでもかなりの持ち出しになる。多摩市は今後、ニュータウンの建替えの容積率を150%に抑える方針を打ち出しており、容積率200%を150%に引き下げるダウンゾーニングも検討している。よほどの地価の変動がない限り、今回の諏訪団地の権利変換率が一つの指標になりそうだ。

 分譲価格は基本的には市場が決めるものだが、坪単価は150万〜180万円ぐらいになるのではないだろうか。

(牧田 司 記者 2010年3月30日)