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「国は老朽化マンションの建て替え誘導を」

〜マンション再生なび 事務局長・関根定利氏に聞く〜


関根氏

 

 老朽化マンションの建て替えは喫緊の課題となっているが、その一方で、建築物の絶対高さ規制など建て替えを困難にさせる法規制もすすんでいる。これまでたくさんのマンション建て替え事業を成功させてきたNPO法人「マンション再生なび」理事・事務局長の関根定利氏(65)に話を聞いた。

 関根氏は旭化成ホームズ時代、同社の記念碑的なマンションともいうべき「同潤会江戸川アパートメント」の建て替え事業で指揮を取り、「国領」「諏訪町」「野辺山」「府中」「六本木」などの建て替え事業にも携わった。等価交換マンションも約50棟担当した。 

 関根氏は次のように語る。

 「都心6区の1000棟を調査したら、権利変換率が1以上のマンションはわずか1%しかないというデータがある。ほとんどが既存不適格(建築物)というのが実情だ。総合設計制度を使えば容積が割り増しになると思っている人は多いが、運用が厳しくなっており、かなり難しくなってきている」

 総合設計制度について東京都は「東京都総合設計制度許可要綱」を今年度内に改正し、夏ごろに施行する。従来は公開空地の量のみの規制だったのを公開空地の質も問い、環境への配慮、高齢者住宅整備などについても要件を厳しくする。

 「旧耐震のマンションは全国に約2万棟。このうち建て替えができたのが150棟ぐらいしかない。阪神淡路クラスの地震が起きたら99%は危ない。これはもう不作為の不法行為だ。これらの建物はもともと適法だったわけだから、特例として現状までは建築できるようにすべきだし、国は積極的に建て替え誘導を図るべき」という。

 絶対高さ規制については、「絶対高さ規制は、少なくとも都心部などではやるべきではない。高度利用を図るべきエリアで、高さ規制とか日照を求めるべきじゃない」と語っている。

(牧田 司 記者 2010年3月12日)