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ランドのシニア住宅事業の進展について思う

 ランドは3月3日、同社グループの「シニア住宅事業の業界ポジションについて」と題する情報開示を行った。

 シニア住宅事業は、子会社のランドネクサスにより2007年2月期に事業参入。2009年2月期で単年度黒字を達成し、2010年2月期も売上高35億円で増収増益の決算となる見込みとしている。運営棟数は9棟で総部屋数は671室。進捗率(稼働率)は91%。

 2010年版の有料老人ホームランキング(売上高)で16位にランクされ、「住まう方が誇りに思える」施設づくりに取り組んでいくとしている。

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 記者は、シニア住宅事業について腰を据えて取材したことはないが、体験宿泊も何度かし、取材も重ねてきた。業界トップクラスのニチイ学館の幹部からは、血のにじむ努力を重ねて介護事業を立ち上げたことも聞いている。

 ランドが参入して4年で黒字に転換し、今期も増収増益を達成できる見込とは結構なことだ。

 それでも、有料老人ホームランキングで16位に浮上したのには驚いた。14位の太平洋シルバーサービスは、太平洋興発の子会社として設立された会社で、第一号の「哲学堂」などいくつかの施設を取材している。会社設立後20数年の老舗企業だ。

 13位の東京海上日動サミュエルも印象に残っている会社だ。同社の前身、サミュエルは1988年設立で、介護事業には1998年に参入。第一号を2000年12月にたまプラーザでオープンさせた。2006年2月、サミュエルにより介護事業を分離し、ミレアホールディングスとの資本提携により東京海上日動サミュエル株式会社を設立した。

 有料老人ホーム「たまプラーザ」を取材したとき、同社の担当者が「不動産開発事業からは撤退しました。この事業が失敗したら、われわれに戻るところはありません」と退路を断っての事業参入であることを知らされたのをよく覚えている。ご存知ない方も多いかもしれないが、同社は首都圏での定期借地権付きマンションを最初に分譲した会社だ。レベルの高いマンションや戸建ても供給していた。

 このような会社と肩を並べることになったランドには、不退転の覚悟でこれからも事業展開して欲しい。業態が全く異なるから、不動産事業とは完全に切り離すことも必要ではないかと考えている。

(牧田 司 記者 2010年3月4日)