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「CASBEE」と都の「マンション環境性能表示」

ユーザーに分かりやすいよう統一できないか


 三井不動産レジデンシャルは先日、平成21年度第2回国土交通省「住宅・建築物省CO2推進モデル事業」に採択された分譲マンション「(仮称)世田谷区中町三丁目計画(総戸数43戸)」を着工したと発表した。

 概要は省略するが、同物件は「太陽光発電システム」などを採用するほか、「グリーン電力証書」の発行・販売や「MFRエコクラブ」の設立などソフト面からも省CO2化を実現し、集合住宅における省CO2モデルとなることを目指す。 

 また、この物件はCASBEE新築 [簡易版]2008年度版による建築物の環境効率「Sランク(素晴らしい)」に該当するという。

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 記者がここで注目したいのは「CASBEE」についてだ。「 CASBEE 」(建築物総合環境性能評価システム)は、建築物の環境性能で評価し格付けする手法だ。「建築系」「住宅系」「まちづくり系」があり、それぞれ評価ツールが作成されつつある。「Sランク(素晴らしい)」から「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」という5段階に格付けされている。

 最近では、東京建物「Brillia 川崎戸手本町プロジェクト」がマンショでは川崎市初となるSランクを取得した。Sランクを取得した第一号マンションとしては、横浜市の三菱地所他「M.M.TOWERS FORESIS」がよく知られている。

 また、大和ハウス工業「D 'グラフォート レイクタウン」が「CASBEE-まちづくり」でSランクを取得している。

 つまり、同じマンションでも評価ツールが異なるので同一レベルで捉えられないという問題もある。

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京都「マンション環境性能表示」評価項目に「太陽光」追加

 問題を複雑にしているのはこれだけではない。東京都は独自の「マンション環境性能表示」制度を平成17年度にスタートさせている。

 これは、「建物の断熱性」「設備の省エネ性」「建物の長寿命化」「みどり」の4項目の環境性能を示すラベルの表示を義務付ける制度だ。それぞれの項目が☆1つから3つまでの印で表示され、全項目が満点なら「☆3つ(12個)」となる。

 これまで、☆3つは第一号の明豊エンタープライズ「シェルゼ木場公園」を始め、野村不動産「プラウドタワー練馬」、東急不動産他「プリズムタワー」、東急不動産「ブランズ南千住タワー」、野村不動産他「武蔵野タワーズ」の「スカイゲートタワー」と「スカイクロスタワー」の2棟、ゴールドクレスト「勝どきビュータワー」、三菱地所他「(仮称)北新宿再開発プロジェクト」の8件がある。

 都は、来年1月から新たに評価項目「太陽光」を加え全5項目とする。従って「☆3つ」は従来の12個から15個に増える。

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 そこで提案したいのが、都の制度と他の府県が採用している「CASBEE」を統一できないかということだ。都は、独自に開発した手法だけに他の府県と同様に「CASBEE」に移行する考えはない。他の府県より先に検討してきたという自負もある。「☆ 3 つ」はユーザーにとっても分かりやすい。

 しかし、他の府県が東京都と同じ制度にすることも考えられない。横浜や川崎などのように、公害など独自の評価基準を設けて評価するのもよく分かる。

 記者は、双方の妥協案として、例えば東京都の「☆ 3 つはCASBEEのSランクに相当します」という添え書きができないかということだ。これならユーザーにも分かりやすく、双方の面子も保たれると思うのだが…。

(牧田 司 記者 12月24日)