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「マンションの着工は来年から回復」

トータルブレイン久光龍彦社長が語る


久光社長

 今年のマンション市場は、供給量が激減し、中堅デベロッパーの破たんも相次ぐなど厳しい市場だったが、マンションコンサルタント会社のトータルブレイン・久光龍彦社長は「今が底。来年からは着工も増加に転じ、2年後は市場回復も本格化する」と語っている。

 着工戸数の今後については、「価格を下げれば売れるということが分かった。工事費も下落し、金融機関から融資も出るようになってきた。材料(土地)もある。着工は来年から増加に転じる。着工増は供給増にもつながり、首都圏では4万戸台に回復する。かつての8万戸台というのはありえないが、2012年以降は5〜6万戸台で推移するのではないか」と予測する。

 回復に転じる理由として、価格を下げれば売れるという今の市場、工事費の下落と金融機関の融資姿勢の変化などをあげる。

 事業資金の融資については、「モラトリアムも背景にあるが、金融機関が条件さえ整えば融資する姿勢に代わってきた。その条件とは、@2期連続赤字を出さないAリストラなど経営改善を行っているB棚卸資産が少ないことC販売目標が確実に達成できている――ことなどだ。この条件を満たせば 少しずつ資金が出始めている 」と語る。

 工事費については「標準的な住戸で、価格が高かったころは2,100〜2,200万円だったものが、最近では1,500万円ぐらいに下がってきている。ボトムの2000年ぐらいの水準に戻った。これからは、行き過ぎたゼネコンの受注競争が収益を圧迫し、さらには与信力の低下を招かないかという不安がないわけではないが、建築費の高騰は当分ない」とみる。

 久光社長が語るように、これまで着工を見合わせたり用地取得を中断するなどしていた中堅デベロッパーの中には、着工の時期をうかがったり新規取得に動き出すところも見られる。着工できない物件の再生を図る ために 同社のような頭脳集団や建築設計事務所などマンション関連の事業会社の動きも活発化している。

(牧田 司 記者 12月24日)