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旭化成ホームズの「+NEST(プラスネスト)」見習うべき

 旭化成ホームズが本日(25日)、子育て世代を支援する生活提案「+NEST(プラスネスト)」の記者発表会を行ったことは先に書いたが、その説明を同社「くらしノベーション研究所」主幹研究員・入澤敦子さんから聞きながら、記者は自分が責められているようで頭が痛かった。子育てに完全に失敗したからだ。

 家事労働は普通の夫並みにはやったつもりだが、やればやったで主婦はその上を要求する。「後片付けができない」「靴や服は脱ぎっぱなし」「帰りが遅い」など、いつもしかられてばかりいた。

 女房を亡くし自分が主夫≠ノなって初めて家事労働の大変さがよく分かった。罪滅ぼしにと、子どもにステーキばかり食べさせたのもいけなかった。まるでしつけができなかった。後悔先に立たずとはこのことをいう。

 さて、「+NEST(プラスネスト)」の具体的提案については明日詳報するが、4つの提案そのものはこれまでマンションデベロッパーなどが個別に提案していた。4つとも盛り込んだ提案は記憶にない。

 旭化成ホームズはさすがというべきだが、デベロッパーへの取材が多い記者としては複雑な気持ちだ。どうしてデベロッパーが先を越されたのか。全て盛り込んでも60万円でできるというのにだ。

 考えるに、マンションデベロッパーの社長も幹部も、家庭の主婦のあるいは主夫の家事労働の大変さなど分かっていないのだろう。分かっていても、コストが上がることで採用をためらっているのだろう。

 記者は、家事労働を金額に換算したことがある。月額にして30〜40万円とはじき出した。旭化成ホームズの4つの提案は、家事労働がどれだけ軽減されるか分からないが、おそらく数年でモトは取れるはずだし、しつけができれば1年間でも十分おつりが来る。

 今からでも遅くない。デベロッパーもみんな見習うべきだ。旭化成ホームズにもいいたい。今回、マンションには「屋内物干しコーナー」は提案しなかったが、多少のコストをかけてでも採用すべきだ。マンションこそ必要といいたい。ベランダに出て、タオルやシャツがこんがらかっているのをほぐし、靴下を対で揃えるのがどんな大変なことか。寒い夜など泣けてくる。

 屋内は「見栄えが悪い」「じゃまになる」などの意見もあるようだが、そんなことを言っていられる場合じゃないし、「屋内干し専用のスペースがない」という声も専業主婦で35.0%、フルタイムで働いている女性も29.5%あることをどう取るかだ。そもそもマンションには物干しハンガーを引っ掛けられるところなどほとんどない。

 入澤さんは、同社のマンションに採用できなかったことについて残念がっていた。「価値をどう見るか」の問題だ。

(牧田 司 記者 11月25日)