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「工場」から「事業」への転換 ポラスのプレカット


「坂東工場」内

 

 ポラスは11月11日、同社グループ会社ポラテックの日本一というプレカット工場「坂東工場」の見学会を行った。

 同工場は、茨城県坂東市にある敷地総面積約42,000坪で、主に構造材のプレカットを行う「テクノフィールド」と金物加工も行う「クリエイティブフィールド」に分かれている。月間構造材生産能力は約57,000坪(30坪の住宅に換算すると約1,900棟)。

  見学会では、世界初という「自動木拾装置」や「ツインターボ加工機」などを見て回った。「自動木拾装置」は、ほとんど人手を使わなくて材木を選ぶ装置で、従来だと3,000坪に1人当たりの人員が必要だったのが、わずか3人のオペレーターで稼動させることができるようになったものだ。

 最近の住宅市場の低迷、景気後退などで受注は今年3月には680棟まで落ち込んだが、最近1,200棟ぐらいに盛り返しているという。

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 記者は、この工場見学は2度目だが、説明を聞いてもよく分からなかった。おそらく何度見学しても分からないだろう。そもそも木造住宅にはどれだれの量(重さ、容積)の木材が使われ、どれぐらいのパーツに分かれるのか、どれだけ切ったり穴をあけたりほぞをつくらなければならないのか、さっぱり分からない。工場を見学してもただただ驚くばかりだ。

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 もっとも注目したのは、同社は、いわゆるパーワービルダーからの受注をほとんど止めたということだった。記者が4年前の前回に見学したときは、パワービルダーからの受注が相当数にのぼっていた。今回はその逆で、10棟、20棟の中小工務店などの受注にも対応できるようにしているという。

 パワービルダーからの受注をなくすことは、大口顧客を失うことだ。常識的には考えられないことだが、同社は価格下げ競争に巻き込まれるより、デザイン・意匠設計、構造設計など付加価値をつけて新たな販路を切り開く戦略を選択した。「工場」から「事業」への転換でもある。毎月コンスタントに顧客数も増えているという。

 考えてみれば、このような転換は予想できたことでもある。下記の記事を参照していただきたいが、前回取材したとき、ポラテック取締役プレカット事業部事業部長・北大路康信氏(現常務)は「パワービルダー神話は終わった」と述べていた。北大路氏は、まさか100年に一度の世界不況まで予測はしていなかったはずだが、今日の状況を予見していたとも取れる。 

 同社は来週の19日(木)、帝国ホテルで同社プレカット事業部主催の「ポラスグループ創業40周年式典」を行う。同社幹部や関係者からどのような声が聞けるか楽しみだ。

縁の下の力持ち ポラテックのプレカット工場(2005/10/24)

(牧田 司 記者 11月11日)