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三井不動産 第2四半期決算は増収増益 通期は下方修正

 三井不動産は10月29日、平成22年3月期第2四半期決算を発表。大型マンションの引渡しなどがあったため増収増益となったが、通期予想では4月に発表した前回予想より売上げ、利益とも下方修正した。

 第2四半期の累計売上高は6,657億円(前年同期比8.3%増)、営業利益は867億円(同22.3%)、経常利益は729億円(同22.0%増)、四半期純利益は428億円(同33.8%増)となった。

 セグメント別では、「賃貸」は新規稼働した「ららぽーと新三郷」や前期に竣工稼動した「青山OM−SQUARE 」などが収益寄与し、前年同期より120億円増収、10億円増益。オフィス単体空室率は3.6%(平成21/6末 3.1%)に上昇した。

 「分譲」は、「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」「パークコート赤坂ザ タワー」など大規模物件の竣工があったことに加え、投資家向けもビル売却に伴う SPC からの分譲配当などがあったため、前年同期比687億円の増収、253億円の増益。完成在庫は931戸(マンション885戸、戸建46戸)となり、第1四半期末の1,058戸(マンション977戸、戸建81戸)より減少。

 「仲介・販売受託・コンサルティング」は、個人向け仲介は回復基調にあるものの、法人向け仲介が低調なため、前年同期に比べ98億円減収、77億円減益。

 通期予想では売上高1兆4,100億円(前回予想比100億円減)、営業利益1,200億円(同300億円減)、経常利益930億円(同320億円減)、純利益500億円(同170億円減)。

 下方修正の主な理由は、分譲マンションの計上戸数を当初予想の6.200戸から500戸減の5.700戸に見直したほか、賃貸では解約に伴う空室の埋め戻しに時間がかかっていることなどから売上げは60億円、利益は30億円減を見込んでいるため。

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 これまで増収増益を続けてきた同社も、市場激変の影響を受け通期では減収減益予想となった。記者団からは「完成在庫などの値下げはしないのか」との質問が飛んだが、弘中聡経理部長は「みんな価値のある物件。一般的なマンションはもちろん、高額も根強いニーズはある。現在はお客さまが待ち≠フ姿勢を見せているだけ。値下げはしない。地道に販売していく」と語った。

 記者も同感だ。中小デベロッパーのマンションの値引き販売は日常茶飯となり、一部の大手も堂々と値下げ販売を行っている。値下げ販売を否定はしない。マンションといえども消費財には違いない。価値がなくなれば下げざるを得ない。

  しかし、記者は、価格に対する信頼性を損なう値下げは安易に行うべきではないと思っている。基本的には売れないものを供給すべきでないし、売れなければすぐ値下げするようでは、ユーザーの信頼は得られないだろう。

 ユーザーも中長期的な視点で物件選択を行うべきで、価格変動にまどわされないことが必要だ。

(牧田 司 記者 10月30日)