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頑張れプロパスト 原点に戻り再び斬新なマンションを

 プロパストは1月29日、平成21年5月期第2四半期決算を発表した。売上高は395億円(前年同期比46.8 %減)、営業損失102億円(前年同期は179億円の利益)、経常損失122億円(同152億円の利益)、純損失180億円(同82億円の利益)となった。主力のマンション事業のほか、資産活性化事業も振るわなかった。

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 同社・森俊一社長との出会いは8年ぐらい前、中央区八丁堀で分譲したマンション「コンパートメント東京中央」のモデルルームを見学したときからだ。まるでファッションブランド店を思わせる販売事務所の造りと斬新なモデルルームに驚愕したのを今でも鮮明に覚えている。

 白と黒が基調で、ポイントに赤を配したデザインが見事だった。モデルルームに備えた赤い花は、東京中の花屋を駆けずり回って探したものだったし、パンフレットを入れる黒の紙袋は、手垢が目立たないようにコーティングしたものだった。

 まだ本社を九段に構えている頃で、社員は数十人ぐらいだった。「東京中央」がヒットしたことで、多くのデベロッパーがこのモデルルームを真似るようになった。記者は、社員数わずか数十人のデベロッパーが時代をリードするのに快哉を叫んだ。

 その後、同社は2層吹き抜けにガラス階段を配した「プラティーク日本橋」、邸宅跡地の松の巨木を中庭に取り込んだ「レゾンデパン大磯」、共用施設にプールを配した高級ホテルのような造りの「オリゾン マーレ」、和のテイストを徹底して盛り込んだ「レジデンシア春日安藤坂」などヒット作を連発した。

 しかし、同社が業績を伸ばし、本社を泉ガーデンタワーに移し、ジャスダックに上場する頃から同社との関係は疎遠になっていった。敷居が高くなってしまった。ここ5年間は森社長ともお会いしていない。一つひとつものづくりにこだわる森社長の考え、哲学と資産活性化事業はどこでどう結びつくのか分からなかった。

 昨年見学した四街道の「プラーザ・ヴェール」は素晴らしいマンションだと思ったが、その他の物件は、他社物件との差別化が不徹底で商品企画の甘さも目立った。驕り≠フようなものも感じた。

 決算短信の数字に表れているように、同社は極めて厳しい状況にある。何とか苦境を乗り切り、あの「東京中央」で見せた斬新な商品企画のマンションを再び供給して欲しい。

(牧田 司 記者 1月29日)