RBA HOME> RBAタイムズHOME >2009年 >


 今日 オリンピック開催都市決定

スタジアム予定地の晴海の近未来像


オリンピックスタジアム(完成予想図)

 いよいよ今日(3日未明)、2016年のオリンピック開催都市が決まる。東京は劣勢が伝えられているが、石原都知事を始め関係者は強気な姿勢を崩していない。

 スタジアムが建設されることになっている中央区晴海といっても、案外知られていない。住所は1丁目から 5丁目まであり、面積は442ヘクタール。人口は約6000人。いまこの晴海エリアでは、都心に近く、水辺に恵まれ好立地を生かすため、土地利用の転換を図り、業務・商業・住宅などの複合都市づくりが進められようとしている。既に街が出来上がっているトリトンスクエアのある1丁目を除き、2〜5丁目にかけてビッグプロジェクトが目白押しだ。

 ただ、現状では工場街、倉庫街のイメージが強く、いまひとつインパクトに欠ける。ららぽーとのある豊洲には勝てない。最寄駅の勝どき駅から徒歩で十数分はかかり、今後分譲されるマンションの坪単価は250万円はつけられないだろう。しかし、オリンピック誘致が決まればポテンシャルは一気に上がる。坪250万円どころか300万円も視野に入ってくる。

 国際的に関心が高まれば、様々な展開も可能になる。豪華客船や大型クルーザーが停泊できる港を整備すれば、リッツ、コンラッドなどのホテル誘致も可能だろう。海上浮遊都市の建設も可能かもしれない。カジノ構想も持ち上がるかもしれない。容積率だって、許可権限は都にあるのだから1000%ぐらいに引き上げれば、4丁目、5丁目の大部分を所有している都有地は高く売れるし、買う側は半値で買えることになる。ゆりかもめの延伸も具体化するだろう。

 タウンマネジメント手法を最大限生かせば、どこにも負けない街づくりができそうだ。

 そんな夢を抱きながら、そしてこの記事を酒の肴にしながら、本日のIOC総会の成り行きを見守って欲しい。

 以下、晴海エリアの最新の開発状況を紹介する。


招致委員会が作製した鳥瞰図の一つ 「夢の島」

定住人口4万人の水に囲まれた複合都市づくり

 晴海地区の全体面積約442ヘクタール。用途地域の4分の3が工業系、工業地域で、倉庫、物流、供給処理施設などが集中していたが、都心への利便性を生かすため土地利用の転換を図り、業務、商業、住宅がバランスよく配置された「水辺の都」を目指す。全体面積のうち53%が道路、公園など公共施設などで、残り208ヘクタールが業務・商業・住宅用地となっている。人口フレームは約42,000人(現在約6000人)。就業人口は7万人を想定している。

晴海2丁目では三菱地所が1860戸の超高層 来春着工

 対岸がららぽーと豊洲で、晴海運河に面した晴海二丁目の一角では約13.2ヘクタールの区画整理事業が施行中だ。ここでは三菱地所がリーディングプロジェクトとして位置づけられている「晴海二丁目地区都市再生事業」(敷地面積約1.5ヘクタール)を行っており、51階建てツインタワーマンション約1860戸を来春に着工、来秋に分譲開始する。竣工予定は13年。

 同社は「もちろんオリンピック誘致が決定されることを期待しているが、オリンピックを前提に事業を進めているわけではない。粛々と事業を進めていく」(同社広報)とコメントしている。

 このツインタワーマンションの隣りには将来計画が「住宅」から「複合施設」に変更された「晴海小野田レミコン」の生コンクリート工場がある。現在は、晴海地区一帯で行われている開発に伴う生コン需要が大きくフル稼働の状態だそうだ。このため将来、どのようなものが開発されるかは未定。

スタジアム予定地の5丁目は国際交流拠点の位置づけ

 スタジアム建設予定地になっている晴海5丁目の約25ヘクタールの土地は東京都港湾局が所有している。現在、オリンピックの誘致待ちの状態になっており、誘致が決まれば道路計画などを見直し、開催の2016年までには整備を終える予定だ。開催が決まらなければ、当初から予定している「国際交流拠点」として客船ターミナル、ホテル、広場、展示場などを誘致する予定。

 同じ5丁目の晴海ふ頭に面した一角は「住宅」ゾーンになっているが、具体的にどうするかは決まっていない。

 基本的にはインフラを整備した上で民間に売却することになりそうだ。「現行の容積率は400%。総合設計制度などを活用すれば600%ぐらいに緩和されるが、それ以上となるかどうかはわれわれには権限がないので何ともいえないし、人口フレームもありますので…」(港湾局臨海開発部)としている。 「オリンピック? もちろん誘致決定されることを期待しています」(同)とのことだ。

 スタジアム建設予定地に隣接しているところには、今年竣工したマンションがある。コスモスイニシア・新日鉄都市開発「ザ・レジデンス晴海」(438戸)とコスモスイニシア「テラス晴海」(378戸)の2棟だ。詳細は別掲の記事を読んでいただきたいが、すでに「ザ・レジデンス晴海」は完売し「テラス晴海」も極めて順調に売れている。オリンピック誘致とは関係はなさそうだが、坪単価210万円台という圧倒的な価格の安さが人気を呼んでいる。今年の人気ナンバー1マンションだ。

 参考までに付け加えると、もともとこの地でマンション計画があったわけではない。施工の長谷工コーポレーションなどが天王洲地区で開発を予定していたのだが、都が開発に難色を示し、この土地の交換して建設されたものだ。天王洲地区で同じ単価で分譲したら、このように好調には運ばなかったのは間違いない。笑いが止まらないのはデベロッパーのほうか。

今年前半の人気1マンション!? 「ザ・晴海レジデンス」(4/10)

「晴海レジデンス」に続き圧倒的人気「晴海テラス」(9/11)

晴海4丁目は都が基盤整備 将来計画は未定

 もう一つ、晴海4丁目は、都施行による区画整理事業が行われており、都は環状2号線など道路整備を行うのみで、具体的な開発については民間などの地権者に任されている。同エリアで土地を所有するのは都を始めNTT都市開発、日本郵政、物流・倉庫会社、ゼネコンなどが所有している。住宅開発が中心になると思われるが、現在具体化されている計画はない。

晴海3丁目は住友不動産、URが3棟 2,236戸のマンション建設

 具体的に開発が動いているのが、都市再生機構が施行している「晴海三丁目西地区第一種市街地開発事業」だ。事業面積は約4.2ヘクタール。既存住宅の建て替え、新規住宅供給を中心に宿泊・業務施設などを導入して土地の高度利用と機能更新を図るのが目的だ。名称も「ベイシティ晴海」に決定した。全体の完成は平成25年。

 既にURの49階建て賃貸マンション736戸がほぼ完成しており、住友不動産が51階建てツインタワーマンション約1500戸を建設する。住宅は合計で約2600戸の予定だ。URの賃貸住宅「ベイシティ晴海スカイリンクタワー」366戸の募集は11月から始まる。住友不動産のマンションは現在プランニングの段階で、詳細は発表されていない。

 このほか、延べ床面積約5900平方bのホテル(東京会員会館)の建設も決まっている。


「ベイシティ晴海」完成予想図(URの賃貸住宅「スカイリンクタワー」は右端)

勝どき駅前では再開発マンション ゴールドクレストが保留床を分譲へ

 勝どき駅前ではUR都市機構が再開発タワーマンションを建設中だ。55階建てで5階以上がマンションとなる。保留床はゴールドクレストが取得し、今年末か年明けに分譲開始する模様だ。分譲戸数は320〜330戸ぐらいになる模様だ。業界関係者の間では坪単価は300万円をはるかに突破するはずと噂されているが、果たしてどうなるか…。

◇       ◆      ◇

招致委員会・都の主催「開催都市決定を迎える会」の模様を詳報

 東京オリンピック・パラリンピック招致委員会と東京都は、2016年のオリンピック・パラリンピック大会の開催地が決まる10月2日(日本時間3日未明)、「2016年オリンピック・パラリンピック開催都市決定を迎える会」を都庁で開きます。午後23:30から開催地が決定される26:00の予定で、松岡修造氏が司会を担当。ゲストに浜口京子、アニマル浜口、吉田沙保里、栄和人、池谷幸雄、宮下純一の各氏が出席するほか、政財界、招致関係者など総勢約500人が出席する予定です。

 会は、「万一、第一回、第二回投票で東京が落選した場合は、その時点で終了」となりますが、会場の模様とIOC総会の国際映像は25:00〜26:10の間、マイシティビジョン渋谷とアルタビジョン新宿で放映されます。

 記者も会の開始から終了まで取材する予定です。会が終了後直ちに開催決定の感動、あるいは落胆の模様をホームページで紹介します。

 都庁と弊社事務所のある新宿第一生命ビルは目と鼻の先、歩いて1〜2分ですので、電波媒体には勝てませんが、どこの紙媒体より先に歴史的な一瞬をお伝えします。ご期待ください。

◇       ◆      ◇

そして落選…

    
「2016年オリンピック・パラリンピック開催都市決定を迎える会」

 祝いのくす球が弾けることはなかった。

 「会」が最高に盛り上がったのは、開始からちょうど1時間ぐらいの日本時間で00:24だった。現地コペンハーゲンからの映像が大型画面に映りだされ、第1回目の投票結果でシカゴが脱落したことを知らされたときだ。司会役を務めた松岡修造氏は「やった!突破おめでとうございます」と大きな歓声を上げた。確か猪瀬副知事だと思うが、「シカゴは中身がなかった」という声が後に続いた。参加者の人たちはバルーンを打ち鳴らした。

 そして第2回目の投票。会に集った約500人の関係者が固唾を飲んで大型画面を見つめる中、00:29に東京の脱落が報告された。ざわめきとともに会場はため息につつまれた。一縷の望みもたたれた瞬間だ。

 松岡氏は約1分間、一言も発しなかった。そして「言葉にならない。全て賭けていたのに…」としぼり出した。

 主催者の佐藤広・東京オリンピック・パラリンピック招致委員会副会長(東京都副知事)は「大変残念。悔しい。言葉にならない」と敗戦の弁を語り、市原則之・日本オリンピック委員会専務理事は「夢は 1 回で実現できない。2回でも3回でも挑戦したい」と語った。「そうだ! 2020年がある」という同調する声はどこか空しく響いた。

 「会」は、「万一、第一回、第二回投票で東京が落選した場合は、その時点で終了」とされていたため、参加者は三々五々、会場を後にした。01:20から出席予定だった浜口京子さん、吉田沙保里さんなどゲストアスリートの出番はないまま会は終わった。

     
        司会を務めた松岡氏              挨拶する有森裕子・招致大使

◇       ◆      ◇

 本来なら誰構わずインタビューする記者だが、今回は1人の参加者にも声をかけなかった。みんな一生懸命誘致活動をされている方々に対して、何の協力もしてこなかった後ろめたさがあったし、礼を欠くと思ったからだ。

 それにしてもシカゴが最下位で、ビリから2番目が東京とは…。

 鳩山首相の「温室効果ガスの削減目標を2020年までに25%削減することを国連総会で表明しました。東京を推薦する理由の一つが環境問題への取り組みであり、開催されれば、東京が安全性と地球環境を守るという未来のモデルになれることを全ての人が目の当たりにするでしょう。大都市は環境を損なうことなく発展できることを約束します」というスピーチは相当効果を上げると思ったが、票には結びつかなかったのか。

 晴海の開発に携わっている方々には、めげずに頑張るようエールを送るしかない。

(牧田 司 記者 10月2日)