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  「都心不動産投資マーケットの最新動向」

三井不動産販売がニュースレター

 マーケットの主役はプロから個人投資家へ

 三井不動産販売は9月、「都心不動産投資マーケットにおける最新動向〜マーケットの主役はプロから個人投資家へ〜」と題するニュースレターを発表した。

 同レターによると、「2009年に入り首都圏における既存住宅マーケットに回復の兆しが見え始めました。価格に値ごろ感が出たことから、購入希望のお客様が増加し、都心部を中心に価格の底入れ感が出てきた。また、都心不動産投資マーケットでも昨年のリーマン・ショック以降、資産のポートフォリオの見直しから安定した利回りを期待する個人投資家が増え、不動産業者やファンドが手放した投資物件が積極的に求められている」としている。

 既存住宅マーケットについては、「2009年に入り底堅い実需を中心に購入希望が増加。首都圏三井不動産販売(リハウス)ネットワークにおける在庫買倍率(売却希望1件に対する、購入希望件数の割合)は、2008年5月の 2.74倍から今年6月には5.05倍まで上昇。特にマンションは、昨年5月の4.44倍から今年6月に8.03倍まで大幅に上昇。8.03倍という値は、バブル期(1990年4月8.68)以来の高水準であり、現在の既存住宅マーケットが売手市場になっていることが伺える」としている。

 都心の投資マーケットについては、「2007年度までは不動産会社やファンド、 REIT といったプロ同士が活発に取引をしていたことで、個人投資家が得られる優良な投資物件の情報は限定的なものだったが、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融収縮の影響で、優良な投資物件が市場に出回るようになり、リーマン・ショック以降、個人投資家が資産のポートフォリオを見直し始めたことで、都心部の投資用不動産が注目を集めるようになり、三井のリアルプランセンターでの都心不動産(実需・投資ほか)取引実績でも、買主の業種割合に大きな変化が見受けられる」

 「2006年度には、全体の58%であったエンド・一般企業の比率が、2年後の2008年度には全体の90%を占めるまでになり、今年度に入ってもこの傾向は続いている。現在の投資マーケットの主役はプロから個人へと変化していることが覗える」としている。

 個人投資家のニーズとしては、「約7割の個人投資家が、物件の安定した利回りを期待し賃料の変動性が低い一棟もののレジデンスを希望。特に、良好な物件が多い都心5区(千代田・港・渋谷・中央・新宿)と城南・城西エリアの築浅物件の人気は高く、予算は、1〜3億円をボリュームゾーンにして、5億円以下の物件のニーズが高く、現在では物件が不足している状況」

 「期待利回りについては、リーマン・ショック直後は、表面利回り 10 %程度を期待される個人投資家が多い状況でしたが、今年の2、3月あたりから取引が活性化しはじめ物件が品薄状況になり、最近では7〜8%台の成約が増えてきた」などとしている。

 今後の不動産投資マーケットについては、「不動産のマーケットはここ数年で非常に速いスピードで変化しており、価格においても速いペースで調整が進行している。個人投資家向けの物件においては、売り物件の品薄状況が続いており、価格の底入れを感じさせる取引も増加。実需を中心に活性化し、価格底入れの兆しが見える不動産マーケットの本格的な回復が期待される」と結論づけている。

(牧田 司 記者 9月3日)