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多摩地区を中心に戸建て事業を展開するアスティーク


「スマイルタウン西武立川1期」

 

 年間150〜160棟販売 「完成まで売れ残ることはない」

 多摩地区をメインに戸建て事業を展開しているアスティーク(立川市柏町、細渕亭子社長)の建売住宅「スマイルタウン西武立川1期」を見学した。

 西武拝島線西武立川駅から徒歩8分、立川市一番町に位置する全15区画の現場で、土地面積は約115〜120平方b、建物面積約89平方b。分譲開始からほぼ1年が経過しており、現在分譲中の住戸は1戸のみで、価格は3,480万円。引渡し時期は8月上旬。

 現地周辺は、畑なども点在する一戸建てが建ち並ぶ住宅街。建物は木造軸組パネル構造で、床暖房、食洗機、浴室テレビ、ワンプッシュ排水栓付き浴槽、 24 時間換気システムが標準装備されていた。

 記者は、最近はあまりパワービルダーや地場工務店の建売住宅は見学していないので何ともいえないが、物件を案内していただいた同社管理部広報課課長・斉藤知史氏の話には説得力があった。会社紹介を兼ねて斉藤氏の話を紹介しよう。

 会社設立は平成9年。注文住宅・建築請負業のアサカワホームのグループ会社として設立された。建売住宅の分譲は平成12年からで、スマイルタウン≠フブランド名で多摩地区を中心に事業展開している。毎年順調に業績を伸ばし、平成20年度の売上高は60億円弱。販売棟数にして年間150〜160棟。販売は販売会社に委託している。

 斉藤氏が力を込めたのは「いわゆるパワービルダーより価格は安いかもしれないが、設備仕様、コンセプトは負けない。お客さまにとって家とは何か、われわれはそのようなお客さまに何が提供できるかを物件に反映させることを常に考えている。ママコーナー∞浴室テレビ∞吹き抜け≠ネどを標準装備するのもそのためで、商品企画担当は女性部長も含め4人とも女性。お客さまのアンケートでも、設備仕様、デザイン、使い勝手に関する奥さまの受けが抜群にいい」

 販売も好調のようだ。「立川は販売から1年ぐらい経過していますが、完成までに売れ残るようなことはほとんどない。先月も世田谷区烏山の7棟現場と、国立の5棟現場がほとんど即日完売した。また、先月分譲開始した東村山の17棟現場では約半数がすでに売れている」とのことだ。

 注目したのは次の言葉だ。「棟数の拡大は追わない。棟数の拡大にこだわると、われわれが目指すお客さま目線の戸建てが造れなくなる。エリアもこれまで世田谷区、杉並区、練馬区での実績はありますが、相場もよく分からないので、無理してまでエリアを拡大する考えはない。これから目標とするのはアフターサービスと街づくりです」

 アサカワホームについては、「年間1,500棟ぐらい建設していますが、建築請負がその半分。店舗展開も積極化させていますが、知名度はまだまだ」と謙虚だ。


斉藤氏

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 この会社を取材しようとしたきっかけは昨日、先輩記者から「アサカワホームって知ってる? 」と聞かれ、「知らないし、興味もない」と答えたところ、「それじゃダメだ。年間1,500棟も建設しているところがどのようなビジネスをしているのか知らなければ」とたしなめられたからだ。

 そこで今日、汗だくになりながら現場見学と取材を斉藤氏にお願いした。快く受けていただいた斉藤氏には感謝したい。同社は社員数 20 数名ということだが、「広報課」を設けているのにもビックリした。上場会社でもおざなりの対応しかしない広報はたくさんあるのに立派だ。

 斉藤氏も語ったように、同社には「棟数拡大を狙わない」で欲しい。マンションも戸建ても、デベロッパーが破たんするきっかけは売上げ増(戸数増)がほとんどだからだ。とにかく足元をしっかり固めることだ。

 もう一つ、注文をつけるとすれば、外構にもっと力を入れて欲しいことだ。昨日取材したポラスは4棟現場ぐらいでも街をつくる℃p勢を堅持している。だからこそ、地域住民に圧倒的な支持を得られるのだ。

(牧田 司 記者 8月7日)