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販売好調 ポラスの「パレットコート浦和」

購入者の6割が公務員


「パレットコート浦和 緑花未来区」

 

 ポラスグループの中央グリーン開発は8月6日、埼玉県さいたま市で分譲中の全99戸の建売住宅「パレットコート浦和 緑花未来区」の記者見学会を行った。4月から販売しており、周辺の戸建てより1000万円ぐらい高かったにもかかわらず1期56戸のうち既に52戸を契約するなど、販売が好調であるため開いたものだ。

 物件は、JR京浜東北線北浦和駅からバス10分、徒歩7分のさいたま市緑区三室南土地区画整理事業地内の一角にある全99戸の規模。1期56戸の土地面積は約132〜162平方b、建物面積は約85〜142平方b、価格は3,480万〜4,995万円(最多価格帯4,300万円台)。

 見学会で挨拶した同社取締役事業部長代理・戒能隆洋氏などによると、販売が好調に推移しているのは、区画整理組合から保留地をまとめて購入したため街が造れたことにあるようだ。組合としても、保留地処分先が決まっていることで、事業がスムーズに運ぶメリットがあるようだ。18年12月に組合が設立されてから、事業は順調に進んでいるという。減歩率は48.9%で、24年3月が事業完了予定。

 同社は「七光台」などの大規模分譲を得意としてきたが、今回は街づくりに当たってさらにバージョンアップ。1区画130平方b以上、カーポート、物置の原則禁止などを盛り込んだ地区計画を策定。外部コンサルによるライフスタイルマーケット調査なども行い、「景観」「環境」「コミュニティ」「ランドスケープ」の4つのコンセプトを具現化した。

 北側道路住戸については、玄関のホールサイドの設けた窓から風を取り込み、隣接した和室に抜けるようにしたり、通常は45〜50センチの2階庇の長さを1.6メートルとし、ベランダの輻射熱の低減を図ったりするなど、自然のエネルギーを住戸内に取り込む工夫を施している。

 メインストリートに面した住戸については道路をカーブさせ、花台、ウォールガーデン、フラワーハンキングなど魅せる庭≠フ演出を行っている。

 この他、各ストリートの入り口にはタウンゲートを設け、各住戸に雨水ますを設置している。外構もしっかり造り込みをしているのも特徴だ。

 同社は2期43戸を引き続き9月から販売する。


北側道路の住戸(2階庇が長いのが分かる)

  
パッシブソーラーの考えを取り入れたプラン(左の玄関サイドの窓から右の和室に風を取り込む工夫)

◇     ◆     ◇

 記者は、同社グループの建売住宅は結構見学しているので、商品企画などは驚きはしなかったが、いわゆる価格の安さを優先したパワービルダーの戸建てを見慣れている人はビックリするはずだ。外構ひとつをとっても、おそらく同社はパワービルダーの10倍近い金額をかけているはずだ。

 同業者は、販売前に「売れるはずがない」といい、売れてみれば「どうして売れるのか」と驚いているそうだが、所詮、同業のレベルはそんなものだ。

 人気の要因は、前述したように街並みを造ったことなどにあるが、一方では、いかに最近の一般的な建売住宅がみすぼらしいかを浮き彫りにさせている。

◇     ◆     ◇

 もう一つ、今回の取材でなるほど≠ニ思うと同時に、困ったものだと思ったことがある。同社から、契約者の約6割が公務員ということを聞いたことだ。

 購入者の6割が公務員というのは別にどってことないが、ローン金利が1%台と低く、ローン減税も過去最高水準に引き上げられたにもかかわらず、4,300万円台の価格帯の戸建てを一般的な子育てサラリーマンが買えないとしたら、これは問題だ。

 この話を聞きながら、記者はわが街多摩市の職員の平均年収が約844万円で全国一であることを思い出した。ターゲットは首切りも給与カットもない、ローン審査もフリーパスの公務員だ。各デベロッパーは戸建てだろうがマンションだろうが、公務員に受けそうな住宅を分譲すべきだろう。そんなものがあるのかどうか分からないが…。


メインストリートの外構

(牧田 司 記者 8月6日)