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結婚への近道は「趣味が一緒」は本当か

〜アキュラホームの調査に思う〜

 

 結婚への近道は「趣味が一緒」――アキュラホームが、20〜70歳代の既婚者744人を対象に行ったアンケート調査結果でこんな結果が出た。夫婦が住まいに対して感じている本音を聞き出すのが目的で、ホームページを通じて行ったもの。回答者は夫が287人、妻が457人。30歳代〜40歳代が夫は66%、妻が70%。

 回答によると、夫婦で共通の趣味を持っている回答者が全体の63%共通の趣味の上位ランキングは「夫:1位…旅行、2位…スポーツ、3位…映画・ DVD 鑑賞/妻:1位…旅行、2位…映画・ DVD 鑑賞、3位…スポーツ」。同じ趣味を持っているのは若い夫婦に多く、20代では73% 、30代では 66% となった。

 共通の趣味のほかにも、多くの回答で夫婦共通の時間を大切にしていることが明らかになった。家の中で一番時間を過ごしたい相手は「配偶者」である回答は、夫、妻共に1位。

 さらに、家を購入した後で一番したいことも、夫、妻共に「夫婦の団欒」が1位となった。また、普段、夫(妻)に配慮している行動は、夫、妻共に1位が「会話をする」、2位が「週末を一緒に過ごす」となっている。

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 アンケート結果はその通りなのだろう。同じ趣味を持ち、家庭の団欒、夫婦の会話を重視し、住宅購入に際しては立地・環境や収納スペースを重視し、頭金を準備するために外食や旅行を控えめにする――などだ。

 しかし、記者はまた違った考えをもっている。極端に言えば、このような皮相的なアンケート調査項目で夫婦の本音が引き出せるのかと考えている。若い独身の頃、彼女から突然三行半≠下された苦い経験をもっているからだろうか、「男と女の間には深くて暗い河がある」(黒の舟歌)とずっと思ってきた。

 趣味が旅行とかスポーツ、読書、絵画鑑賞など一緒であっても、男と女は全く逆のものを見ている、考えているのではないだろうか。同じ行動をとるとか一緒のものを眺めているからといって、妻、あるいは夫が同じ方向を見ていると考えるのは危険だ。むしろお互いの間に「深くて暗い河がある」と考えたほうが円滑に夫婦生活が遅れるのではないだろうか。

 夫婦間に乗り越えられない溝があることを、同社のアンケートは図らずも明らかにしていることがある。それは、「住いを決めて建てるにあたって、どんなことで意見が分かれますか」という問に対して、夫も妻もほとんどが立地・環境、購入予算、間取り、内装・インテリアだ。同じ趣味を持ち、夫婦の団欒・絆を重視しているのに衝突するのはいつも同じことだ。「同床異夢」とはこのことをいう。

 住宅の企画も、男と女の間には克服できない溝があることを前提に考えたほうがいい。これまでの住宅企画は、ほとんど全て共通項を探ることを前提にしている。だから同じような間取り、同じような設備機器の金太郎飴¥Z宅になる。既成概念を捨てることに、夫婦の本音を引き出すヒントが潜んでいるのではないか。

(牧田 司 記者 7月3日)