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アンビシャス 急速に減るマンション在庫

買い取り販売に力注ぐ

 

  中堅デベロッパーの最後の砦≠ニも言うべきアンビシャスが大健闘している。

 昨秋から分譲開始している「アンビシャス松戸六高台」(114戸)が、ここにきて成約スピードが高まり、在庫は27戸まで減ったというのだ。ほとんど値引きもしていないというから驚きだ。現在分譲中の住戸(27戸)の価格は2,110万〜3,300万円(最多価格帯2,800万円台)、専有面積は約63〜81平方b。坪単価130万円。建物は今年3月に竣工済み。

 同社は昨年だけで400〜500戸のマンションを販売しており、ここにきて在庫が急速に減っている。自社物件では、この「松戸六高台」を含め「久米川」「船橋高根台」など数十戸しかない。

 在庫減に安堵の表情を浮かべる安倍徹夫社長だが、在庫が減れば減ったで新たな悩みも発生している。売りものがなくなってきたのだ。同社は、これまでもコンスタントにマンション用地を仕入れているが、市況を見極めるためここしばらくは着工を見合わせている。同社のマンション販売力からして月間30戸ぐらいは売る力があるが、このままだと数カ月もすると売りものが底をつく。

 そこで目をつけたのが買い取り販売物件だ。安倍社長は、郊外型や地方物件の供給がプレーヤーの破綻・撤退で極端に減ると読んでおり、同社の販売力を武器に物件仕入れに力を入れるという。

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 このところの中堅デベロッパーの相次ぐ破綻で、マンション業界地図は大きく変わりつつある。バブル期には首都圏で1万戸を供給していた大京は、昨年は約2,000戸まで減った。ダイア建設は破綻し、藤和不動産は三菱地所の子会社、扶桑レクセルは大京に吸収合併された。このほか、ニチモ、日本綜合地所、ジョイント、アゼル、モリモト…など老舗、新興勢力の区別なく破綻などで表舞台から姿を消した。

 このため、かつて400〜500社が乱立していたマンションデベロッパーは100〜150社程度に激減している。今後も当分は市場縮小は避けられない。「この秋頃までに在庫はさばけるが、そのあとは売り物がなくなる。用地取得もできていない」と危機感を募らせるデベロッパーは少なくない。

(牧田 司 記者 6月3日)