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ワークシェアリングよりハウスシェアリングがいい


 記者が住む団地の会合でこんな会話が交わされた。

 A氏曰く。「わが団地と同じ規模で同じ築年数の団地では、入居者の1割りぐらいは独居老人になっている」

 B氏がこれに応えて曰く。「同じ団地内なら、お互いの気心が分かっている。連れ合いをなくしたおじいちゃん同士、あるいはおじいちゃんとおばあちゃんが一緒に住んで、余った住居は賃貸に回せばいい」

 記者もこの意見に乗った。「カーシェアリング、ワークシェアリングもいいが、これはもっといい。わたしなんか、他人と住むことに全然抵抗がない。若いおばあちゃんだったら、ちゃんと食事も作ってやる。ルームシェアリング? ハウスシェアリングどっちでもいい」

 会合は、老朽化する団地の維持・管理やコミュニティ形成を図るための中長期ビジョンを作成する目的で開かれたものだ。

 ルームシェアリングは古くからあった。昔は会社の独身寮、学生寮はみんな同居タイプだったし、老人ホームも似たようなものだ。最近流行のゲストハウスだって雑居ルームだ。

 しかし、分譲マンションのハウスシェアリング≠ネんて聞いたこともないので、ネットで調べてみた。分譲マンションのハウスシェアリング≠ヘ見つからなかったが、すでにUR都市機構が平成16年10月から賃貸住宅で採用していることが分かった。

 早速、UR都市機構に聞いた。同機構によると、ハウスシェアリングは入居促進のために始めたもので、単身者向けとして全国にある約1800団地のうちから304団地約15万戸を対象に開始。平成17年度は180件、18年度は218件、19年度は211件の実績があるという。詳しいデータはないそうだが、年齢別では30歳以下が圧倒的に多く約8割を占めているという。UR都市機構の担当者は「分譲マンションのハウスシェアリングは聞いたことがない。そのようなことができれば、モデル的なものになりそう」という。

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 この話を連れ合い≠ノ話したら、全然取り合ってくれなかった。「あなたのようなわがままの、ボケ老人と一緒に住もうという人なんかいるはずがない」「わたしなんか絶対イヤ。お風呂もトイレもお勝手も他人と一緒に使えるわけがない」というのだ。

 記者だって、ボケ老人や枯れ木≠フようなしわくちゃおばあちゃんと一緒には住みたくないが、お互いのプライバシーを侵さなければ赤の他人同士が同居することは可能だと考える。後見人(代理人)や仲人(仲介)を設け、ルールをしっかり定めれば分譲マンションのハウスシェアリングは絵空事ではないような気がする。

 同居することで光熱費が半分に減り、生活費も大幅に削減できる。何よりも賃貸収入が魅力だ。お互い緊張感もあるだろうから、認知症防止につながるのではないか。

 誰かモデル(モルモット)として同居を始めないだろうか。自治体も支援してはどうだろうか。

(牧田 司 記者 1月19日)