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オープンハウス 9月期決算予想 過去最高の増収増益へ


荒井正昭社長


 2年前に「サブプライム」の影響を先読み いち早く減損処理

 マンションや戸建ての売れ行きが急回復しているとはいえ、今期はほとんどのデベロッパー・仲介会社は減収減益を余儀なくされるのは間違いない。それどころか、最終黒字を確保するのが難しい環境下に不動産業界は置かれている。

 そんな中、過去最高の増収増益を達成しそうな会社がある。渋谷に本拠を置き、仲介と戸建て・マンション販売の2本立てを中心に展開しているオープンハウス(荒井正昭社長)だ。同社は、「センチュリー 21 ・ジャパン」に加盟しており、平成12年から20年まで9年連続して全加盟店の中で売上げbPに輝いている会社としても知られている。

 荒井社長がこう語る。「住宅分譲は、昨年10〜12月は厳しかったが、それでも月間40〜50戸を販売してきた。そして2月は63戸、3月は64戸、4月は月間としては過去最高の79戸を販売した。仕入れは厳しくなってきたが、在庫はほとんどない。年間700戸ペース(前期は310戸)で推移している。

 仲介は、今年4月に中野に店舗をオープン。6営業所体制にし23区は全てカバーできるようになった。前期(2008年9月期)は増収減益になったが、今期は過去最高の増収増益を達成できる」

 なぜこの時期に過去最高の増収増益を達成できるのか。その答えはこうだ。「私は、センチュリー21の表彰などもあり、年間2〜3回、アメリカを訪れている。アメリカの住宅ブームは2005年夏にピークを打った。その影響は早晩、日本にも出るだろうと思った。そこで2007年9月期に全て減損処理を行った。早く処理したお蔭で現在がある。巷間では100年に一度の不況などといっているが、私は価格調整の速さからいって、回復も早いと読んでいる。今は追い風が吹いている」

 わが国の不動産業界がブームに沸いていた頃、荒井社長はサブプライムの影響は必ずわが国にも及ぼすと読んでいたのだ。

 さすがに昨年の10〜12月にかけては厳しかったようだが、それでもしっかり信じられないような安値で用地を仕入れている。近く分譲する三軒茶屋のマンションの坪単価は230万円、桜新町は210万円という。価格調整が進んでいるとはいえ200万円台の後半が相場のエリアだ。荒井社長でなくとも「即日完売するだろう」と読むはずだ。

 業績好調の秘密は、優秀な人材の確保にもある。同社は2010年に30〜40人の新卒を採用する予定だが、面接は4,000人 にのぼるという。求人情報サイトのリクナビには1万件の求職登録がある。旧来型の不動産業志向は1〜2割程度で、自己実現を目指す若者の比率が圧倒的に高いのが特徴だ。

(牧田 司 記者 5月19日)