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三井不動産 3月期決算 経常10%減にとどまる

棚卸資産評価損は158億円 「めきき力」の差

 

 三井不動産は4月30日、平成21年3月期連結決算を発表。市場激変の影響を受けながらも増収となり、経常利益は10.3%減にとどまった。売上高は1兆4,189億円(前期比4.3%増)、営業利益は1,715億円(同4.3%減)、経常利益は1,460億円(同10.3%減)、当期純利益は835億円(同4.4%減)となった。

 セグメント別では、賃貸は前期に稼働した「グラントウキョウノースタワー」、当期に開業した「三井アウトレットパーク入間」などが収益に寄与したことから前期比607億円の増収、88億円の増益となった。オフィスの空室率(単体)は2.5%と低水準を維持した。

 分譲は、都心の高収益物件が増加したため増収となったが、棚卸資産の評価減158億円を計上したため139億円の増収、91億円の減益となった。

 仲介・販売受託・コンサルは、法人向け仲介が大幅に減少し、リハウスの取扱単価の下落などにより90億円の減収、84億円の減益となった。

 期末配当は期初に公表した11円(年間22円)の予定。

 次期の業績見通しは、売上高1兆4,200億円(前期比0.1%増)、営業利益1,500億円(同12.6%減)、経常利益1,250億円(同14.4%減)、当期純利益670億円(同19.8%減)を見込んでいる。

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 市場激変の影響で、同社がどれぐらい棚卸資産の評価損を計上するか注目していたが、わずか158億円(分譲住宅131億円、投資家向け27億円)にとどまった。同業他社が軒並み数百億円を計上していることや事業規模を考慮すると極めて少ない額だ。

 この点について同社経理部長・弘中聡氏は「他社のことはよく分からないが、用地の買い方が違うのではないか。過度な入札には参加しないなどめきき力≠フ差ではないか。当社は低価法の採用について適切な処理をしている」と胸を張った。

 3月末の完成在庫が前期末の568戸から919戸へと大幅に増加し、売上計上戸数5.778戸の約16%に膨らんでいるのは気掛かりな材料だが、「在庫の8割は郊外と地方」(同氏)であるのは救いか。高額物件は当分苦戦しそうだが、一般的な物件の在庫はこのところの市況から判断すると急激に減るはずだ。

(牧田 司 記者 5月1日)