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高さ制限のため容積率200%の半分を余した
伊藤忠都市開発・パナソニック
「クレヴィア若葉台パークナード」


「クレヴィア若葉台パークナード」エントランス(完成予想図)

 

 伊藤忠都市開発(事業比率50%)とパナソニック(同)の意欲的なマンション「クレヴィア若葉台パークナード」を見学した。

 物件は、京王相模原線若葉台駅から徒歩9分、稲城市若葉台1丁目に位置する敷地面積約23,000平方bの5階建て6棟からなる全288戸の規模。専有面積は約70〜121平方b。価格は未定だが、坪単価は167万円。竣工予定は平成22年3月中旬。デザイン監修は三沢亮一氏。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 物件概要でも分かるように、中層マンションであるのが大きな特徴だ。具体的に言えば、建ぺい率が約38%、容積率が約107%となっており、一戸建て並みの建築物になっている。

 なぜこうなったのか。都市計画上は建ぺい率60%、容積率200%のエリアだ。その一方で、このエリア一帯には地区計画が定められており、建築物の絶対高さは15メートルとなっている。さらに、土地を売却したUR都市機構の譲渡条件として戸数が288戸となっていた。

 つまり、マンションの1層を3メートルとすると5階建てしか建てられず、戸数制限も満たすとなると容積率を余すしかないためだ。高さが15メートルとなっているのは、周囲が戸建て団地になっており、そのスカイラインを重視しているためと思われる。

 多摩ニュータウン内では、古い公団団地では5階建ては普通だったが、最近の民間マンションで5階建てというマンションはほとんどない。高さ制限が設けられていないためだ。その意味では、今回の物件は多摩ニュータウンでは民間初の中層マンションということができる。

 この地区計画の是非はさておき、結果的には、高さ制限のため指定容積率の半分を余したゆったりとした住棟配置が実現した。

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 最近の多摩ニュータウンでは珍しい中層(パンフレットには「低層」となっているが、5階建てがどうして「低層」なのか記者は分からない。かつて「低層」とは3階建てまでだった)が人気になっているようで、事前の来場予約は満杯だそうだ。このため、1期は3棟128戸を一挙に分譲するという。

 住戸プラン、設備仕様レベルも高い。多くが6.5メートル以上のワイドスパンで、間取り選択プラン、オリジナルのストレスフリー収納「せいとんレシピ」、キッズバルコニープランなども提案している。

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 収納や子育てプランの提案では他社を圧倒している伊藤忠都市開発だが、今回は、メインターゲット層の子育てファミリー向けに面白い仕掛けも行っている。12チャンネルの「TV チャンピオン」でペーパークラフトチャンプになった大熊光男氏が作製した紙製の大型タウンガイド模型を設けているのがそうだ。記者はチンプンカンプンだったが、来場者、中でも子どもが歓声を上げるという。

 マンション購入を決断するのは世帯主で稼ぎ頭の夫かもしれないが、実質的には奥さんであり、子ども(子育て)である。こどもが気に入らなければ購入しないということを同社はよく知っているということだ。(記者は、入居寸前になって「お父さん、引越しいやだ」と子どもに泣かれ、手付金を放棄して契約を解除したことがある)

 とにかく、かゆいところに手が届くマンションだ。逆風の中で需要を喚起するのはこのようなマンションだ。両社は一昨年にも若葉台駅圏の「若葉台レジデント ファースト」(170戸)を早期完売した実績もある。

(牧田 司 記者 4月28日)