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1戸当たり200万円 少なすぎる補助額

大京「ザ・ライオンズたまプラーザ 美しが丘」


換気機能付き玄関ドア(中央のスリット状の部分で、防犯面でも問題はなさそう)

 

 「電力モニター」など「見える化」も成否のカギ

 昨日の大京「ザ・ライオンズたまプラーザ 美しが丘」の続き。

 「超長期住宅先導的モデル事業」は国家的なプロジェクトだから、国庫補助があって当然だが、工事費の10%が限度であり、同社のマンションではおおよそ1戸当たり200万円という額には失望させられた。

 マンションの申請(採択)事例が少ないのは、同社の担当者も語ったようにハードルが高い割に補助額が少ないからだ。同社のマンションだと、売り単価で1坪の価格にもならない。環境共生住宅も同様、事業者やマンション購入者に思い切った税制面のインセンティブを与えないと、なかなか普及しない。デベロッパーが積極的に取り組めるよう増額すべきだろう。

 さて、昨日は「外付けブラインド」を紹介したが、今日はその他の「パッシブ」手法を紹介しよう。

 記者が、「これはいい」と思ったのは打ち水の効果があるミスト散布だ。同社は屋上緑化、擁壁緑化などで緑地率を50%にするが、一部の擁壁樹木には自動散水式のミスト散布を行う。スプリンクラーによる自動散水は珍しくないと思うが、水を霧状にしてまくというのはあまり例がないのではないか。これは、マンション居住者はもとより、近隣の住民にも評価されるだろう。

 もう一つ、換気機能付き玄関ドア・通風用防犯ストッパー付きサッシの採用だ。換気機能付き玄関ドアは、一方では遮音の問題もあるが、居室内に自然の空気を取り入れ、空気の流れを促す意味で効果が大きいだろう。最近のマンションの機密性は高く、玄関ドアを開けるのに難儀している居住者は多いはずだ。この問題が解消される。

 同社は、このほかにも家庭内の消費電力を目で見て確認できる「電力モニター」制度を東芝と協力して採用するという。すだれシェード・グリーンカーテンも設置するという。

 記者はかつて、環境共生型マンションの入居者(モニター)にインタビュー取材したことがある。入居者の方が、デベロッパーから支給された天空の温度も測れる 赤外線放射温度計を持って、居室内だけでなく隣の家の外壁、屋根、道路から空の温度を測り、 「電気代がこれだけ節約できた」「クーラーがなくても平気」などと嬉々として環境問題に取り組んでいるのを覚えている。具体的な形で「見える化」を進めることが必要なのを痛感した。

 これら一連の設備、工夫が「見える化」によって具体的にユーザーに訴えられるかが事業の成否を握っているように思う。

(牧田 司 記者 4月24日)