人も犬も非日常≠楽しむ 東京建物「いぬのきもちコテージ」
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東京建物は4月18日、福島県・羽鳥湖高原の大規模複合リゾート「羽鳥湖高原レジーナの森」で「愛犬と泊まれる理想のリゾートをつくる」をコンセプトにした“いぬのきもちコテージ”の記者見学会を開いた。 “いぬのきもちコテージ”は、レイクレジーナを望むコテージタイプの独立した客室11棟で構成。各コテージの専用庭はプライベートドッグランになっており、バーベキューなどを楽しむことができる。犬が滑りにくい床、傷を付ける心配のない腰壁、世界一流のホテルで採用されている専用のベッド、飛び出し防止ゲート、昇降式のダイニングテーブルなどか標準装備されているほか、お茶請け、バスタオルなどの愛犬用グッズも用意されている。 付帯設備としては、広さ4000平方bの特大ドッグラン、日本初のノーリードドッグウォーク、ワンちゃんスパなどがある。 宿泊料金は1泊2名利用で1人当たり20.000円(2食付、税・サ含、入湯税別。小型・中型犬の場合、2頭分の宿泊料金を含む。3頭目からは1頭に付きプラス2,100円)から。 挨拶した小沼孝夫・羽鳥湖高原レジーナの森社長は「愛犬と一緒に楽しめる日本有数の施設。一般の方にとっても新しい風景が加わった。新しい顔として売り出して生きたい。予約も好調」と語った。 また、自らもペットを飼っているという同社・綾木眞二常務は「わが国には1310万頭の犬が飼育されており、10歳未満の子どもより多い。また、わが社が分譲する年間2000〜3000戸の9割がペット飼育可能になっており、ペットともに生活するパターンは一般化している。しかし、その一方で、ペットと一緒に旅行したことがない愛犬家は7割に達しており、そのうちの85%はペットと一緒に旅行したいという希望を持っているというデータもある。今回の施設は完成型ではないが、一つの柱にしていきたい。人と自然との共生≠テーマに、常に進化、改善させていく」と語った。
◇ ◆ ◇ 記者は馬鹿な質問を3つした。 この質問に対する綾木常務の回答は明快だった。 なるほどと思った。日常の世界とは違った非日常≠求めてホテルやリゾートを利用しようとするのは、犬も人間も同じなのだろう。 夫婦関係については、綾木氏と同じようなこと言った利用者がいた。犬に向かってこういうのだそうだ。「お父さん、今日は遅いわね。何しているんでしょうね」「今日はみんなで散歩しようか」「今日は何を食べようかしら」…ペット(犬)は緩衝材であり触媒でもある。ある人にとってはカタルリスでもあるのだろう。これは猫では具合が悪いのだろう。猫にそんなことを問えば、「俺(わたし)の知ったことじゃない。勝手にしな」とプイとそっぽを向かれるのが落ちだ。 もう一つの質問は、「ドッグラン」を見学したときだった。綱・紐(リード)から解き放たれた犬は、人間と一緒だった。親(飼い主)から離れられない犬、女あるいは男(メスあるいはオス)の尻を追っかけまわす犬、媚びる犬、小さな犬を威嚇する大きい犬などなど。 記者は愚問だとは思ったが、関係者に聞かずにはいられなかった。「ここでは犬の自由恋愛は許されるのか」と。もちろん答えは「ノー」だった。 左から専用ベッド、昇降式のテーブル、会津に1人しかいない職人がつくったさわら材の風呂 ◇ ◆ ◇ ふざけたことを書いたが、今回の取材は大真面目でもあった。 記者は20年以上前から「マンションでのペット飼育を可能にすべき」と主張してきた。ペット飼育の可否が問われた横浜裁判もずっと取材した。マンション管理規約に違反≠オてペットを飼っていた被告(入居者)が敗訴したとき、記者は泣いた。犬を捨てるか退去するかを迫られた被告は、退去の道を選んだ。 勝訴した原告(管理組合)もペット不可に何の疑問を示さなかったデベロッパーや管理会社の将来はないと思った。ペットが好きとか嫌いとかという問題ではなく、人間の尊厳の問題だと思った。ペット飼育を認めなければ、やがてマンションそのものがユーザーから指弾を受けるだろうと。 時代は変わった。今ではほとんどのマンションはペット可になった。結構なことだ。しかし、ペット可は販促の手段≠ニして普及しだしたことを記者は忘れていないし、ペット可を可能にしたのはペットが嫌いな人を含めたユーザーの良識≠セと思っている。 今回、東京建物の「レジーナの森」で見られた非日常≠フ世界が、ホテルやリゾートの日常世界として見られることを望みたい。 ドッグラン ドッグウォーク |
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(牧田 司 記者 4月20日) |