今年のマンション市場
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2009年のマンション市場については、いろいろな予測が出ている。かつてのバブル崩壊直後より厳しい市場になるのは間違いなさそうだ。バブル崩壊のときは、痛んだのは不動産業と金融業が中心だったが、今回は自動車、電気、製鉄など基幹産業を始めあらゆる業種が大打撃を受けている。単なる1企業の努力ではどうにもならない厳しい環境下にあるからだ。 マクロ的には供給量が半減し、価格下げ圧力は一層強まり、売れば売るほど赤字が膨らむことになりそうだ。高額物件などを中心にキャンセルが続出しているのもいやな材料だ。史上最高の住宅ローン減税も、ユーザーの購買意欲が減退しているいまは即効的な効果は望めないだろう。地価・建築費が下落しているとはいえ、その効果が現れるのは来年以降だろう。 明るい材料が一つも見えない今年は、「忍」の一字の年になりそうだ。 しかし、かつてのバブル崩壊時でもそうであったように、どのような状況であれ需要が枯渇することはない。ユーザーニーズを的確に捉えた商品企画であれば、間違いなく売れるだろう。結婚、出産、子どもの成長、転勤、世帯分離、退職など、人生の節目節目で住宅購入はついて回るからだ。劣悪な賃貸住宅環境も分譲市場にとっては追い風となる。 即効性はないだろうが、今年デベロッパーが取り組むべき課題をいくつか上げてみた。キーワードは環境に優しい∞人に優しい≠セ。 環境に優しい<}ンションの普及も大きなテーマだ。業界では環境共生は売れない≠ニいう声が聞かれるが、そうではない。環境共生型マンションが売れないのではなく、供給側のコンセプトがユーザーにしっかり伝わっていないからだ。具体的に分かりやすくユーザーに説明すれば、理解を得られるはずだ。 環境共生型マンションが市場で正当に評価されるよう、住宅金融・税制面での支援策も必要だ。 人に優しい<}ンションでいえば、ユニバーサルデザインの採用だろう。すでに各社はパンフレットなどにユニバーサルデザインを謳ってはいるが、徹底しているのは扶桑レクセルぐらいだ。少子高齢社会では、益々ユニバーサルデザインが重要度を増す。車椅子利用にも対応できる廊下幅のメーターモジュール化はもちろん、トイレの位置・向きなども検討すべきだろう。 ひとに優しい<eーマとしては、子育て∞家事労働の軽減≠ネども重要だ。子育てについては、これも各社がすでに取り組んでいるが、ユニバーサルデザインの取り組み同様、ユーザーの需要を喚起するにはまだまだ努力が足りないように思う。家事労働の軽減も同じだ。これらについては、ナイスが取り組んでいる 70 平方b台の4LDK≠窿Rスモスイニシアのハピカジ≠ェヒントだ。徹底して現場の声を吸い上げることだ。 管理会社との連携も重要なテーマになりそうだ。ここ1〜2年、大手デベロッパー系の三井不動産住宅サービス、三井不動産販売、東急コミュニティー、大京アステージなどが入居者へのアフターサービスの充実を図っているが、一層の取り組み強化が必要だ。入居者へのサービス拡充は、あらゆるビジネスチャンスの源泉だろう。 もう一つキーワードを付け加えるならソリューション≠セ。この言葉は、三井不動産の岩沙弘道社長が今年の念頭訓示で語った「今年のスローガンとして『試練の時。挑め、顧客志向のソリューション』とします」から採ったものだが、同社は数年前から「住宅はソリューションビジネス」と位置づけ取り組んでいる。環境に優しい∞人に優しい¥Z宅を供給することは、ソリューションビジネスに他ならない。 販促のためには値下げも効果があるのかもしれないが、無利息クレジット・返済の据え置き、賃借権・所有権の選択制も取り入れていいのではないか。 |
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(牧田 司 記者 1月14日) |