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賃貸住宅トラブルの未然防止にガイドライン定型化急げ 社会資本整備審議会 賃貸住宅部会

 

 賃貸住宅のトラブル未然防止にガイドラインの定型化急げ――国土交通省は3月31日、「社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 民間賃貸住宅部会(第2回)」(部会長:浅見泰司東大空間情報科学研究センター教授)を開き、賃貸住宅のトラブルでもっとも多いとされる退去時の原状回復をめぐるトラブルを未然に防ぐために原状回復確認リストを作成して、賃貸人にも賃借人にも分かりやすいシステムを構築すべきことなどが話し合われた。また、トラブル発生の遠因になっている賃貸住宅情報の非対称性を解消すべきことも論議された。以下、各委員の発言。(順不同)

◇中川雅之・日本大学教授 ガイドラインは尊重すべきだが、いいルールを定めても普及しない。入居時と退去時の資産価値減少を客観的に評価できるシステムが必要。また、いい管理をすれば賃貸人、賃借人共に負担が少なく済むような履歴情報なども開示して、そのような賃貸住宅にはインセンティブを与えるような仕組みも必要だ。

◇山崎福寿・上智大学教授 借主の履歴情報を共有化して事故を予防することも必要。そのような情報を共有すれば、家賃滞納リスクなども軽減され、敷金などを引き下げることもできる。個人のデフォルトに適切に対応することが重要だ。

◇吉田修平・弁護士 業者のフィーについて論議すべき。管理業者が賃貸人と直接サブリース契約を結び、賃借人と賃貸借契約を結んでいる例もある。

◇鈴木良一・社団法人不動産流通経営協会運営委員会委員長 貸主が貸しやすくする、投資家が投資しやすくなるようなインセンティブも与えるべき。

◇三好修・社団法人全国賃貸住宅経営協会副会長 地方などのオーナーは家賃の値下がりや空室の激増で悲鳴を上げている。空室対策として「入居時に7万円の家電プレゼント」などと謳っているところもあるほどだ。賃貸ルールづくりどころではない。

◇金子光邦・弁護士 賃借人の情報開示の話が出たが、大家の情報も開示すべき。あこぎな業者もある。

◇桜井敬子・学習院大学教授 紛争の未然防止・原状回復が論議されているが、これらは当事者間で解決すべき問題で、ミニマムなもの。トラブルが起きないような慣行を作るべき。行政が関与しなければならないのは、健全な賃貸住宅市場が形成されるよう、持ち家との関連もあるが、優良なストックをどう形成するかということではないか。

(牧田 司 記者 3月31日)