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貸し渋り、会計基準、ローン審査など提言

 日住協・神山和郎理事長


神山理事長

 日本住宅建設産業協会(神山和郎理事長=日神不動産会長&社長)は1月13日、都内のホテルで恒例の新年賀会を開いた。来賓など約200名を含め約700名が参加した。

 冒頭、挨拶に立った神山理事長はまず税制改正について触れ、「昨年の税制改革については、100点満点の回答を頂いた。いや150点つけたいぐらいの、大変満足できるものにしていただいた。また、年末には緊急対策としてまちづくり融資が発表された。これによって業界のムードがかなり変わってくるのではないかと期待している」と述べた。

 続いて、昨年1年間を振り返り、「昨年は大変厳しい年だった。わたしは、この業界に40年間身を置いているが、初めての経験だった。バブル崩壊時よりはるかに厳しいというのが実感だ」と語り、「われわれ協会のメンバーもたくさん破綻した。破綻する企業名を見るたびに、『またうちのメンバーか』と大変心を痛めた。これは逆に考えれば、活発に事業展開してきたという裏返しと理解したい」と語った。

 さらに続けて、「過去40年で初めての経験だが、この問題の本質は何かを考えると、サブプライムローン問題がよく指摘されるが、わたしは最大の要因は金融機関の貸し渋り、貸しはがしにあるのではないかと考えている。人間で言えば血液ともいうべき金融が止ってしまった。これでは生き延びるのが難しい。輸血が必要な人間に輸血ができない。大変残念な結果になっている。本来なら公的資金を注入して、金融機関は半国営にして欲しいぐらいだ」と、会員が置かれている厳しい状況について語った。

 神山氏はまた、「アメリカ型の会計基準、つまり監査法人の減損会計とか時価会計とかを見直す必要があるのではないか。破綻企業の状況を観察すると、半年先、1年先の資金繰りや返済計画のメドが経たず、継続企業の基準ゴーイング・コンサーンに疑義ありということで、金融機関からの融資が受けられなくなって破綻するケースが多い」と、アメリカ型の会計基準の見直しについて触れた。

 過去最高の住宅ローン減税については、「ローン審査も厳しくなっている。住宅ローンがつかないケースが多い。せっかくのローン減税もローンが付いてはじめて生きてくる。ローンが付かなければ絵に描いたもちになってしまう。住宅金融公庫を復活して欲しいぐらいだが、ぜひ住宅金融支援機構のフラット 35 の適用をいま一度見直しをやっていただきたい。ぜひとも使い勝手のいいものにしていただくよう、業界として一致団結してお願いしていく必要がある」と、融資制度の改善についても言及した。

 最後に、「バブル崩壊のとき、もう日本経済は終わった。不動産・住宅業界は無理だ、土地神話はなくなった、われわれの業界はもう先はないといわれたが、しかし、復活した。今回もまた、いかに厳しくとも時間の経過とともに復活することを信じている。皆さん、ぜひ知恵を絞り、汗を流して復活しようではありませんか」と呼びかけた。

(牧田 司 記者 1月14日)